「イスラム国」指導者が抱えるケータイ恐怖症 隠し持つ市民を射殺も

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バグダディはケータイ恐怖症(写真はイメージ)

 イラク第二の都市モスルの奪回作戦が足踏みしている。政府軍が空爆などの強硬策に踏み切れないのは、過激派組織「イスラム国」(IS)が100万人以上の市民を“人間の盾”にしているからだ。一方、市内では連日のように市民が公開処刑されているが、それは最高指導者が、“ある恐怖”を抱えているからだという。

 政府軍の攻勢が強まった6月以降、ISは情報統制を目的にモスル市内でテレビ放映を中止し、インターネットも遮断している。全国紙の外報部記者によれば、

「なかでも、ISが神経を尖らせているのがアイフォンなど携帯電話です。市民には所持を認めず、隠し持っているのが見つかりスパイ容疑で射殺された市民は数百人に上るといわれています」

 この厳禁令は、市内に潜伏中の最高指導者、アブーバクル・バグダディ(45)の指示によるものだという。中東情勢に詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説するには、

「米国は、携帯電話が発する電波を元に“攻撃対象”の居場所を特定して、ピンポイントで空爆することが可能です。5年前、米国の海軍特殊部隊に殺害されたアルカイダの最高指導者、ウサマ・ビン・ラディンの行方がなかなか掴めなかったのは電子機器を一切使わなかったのが理由の1つ。バグダディも、米国と連携するイラク政府軍に居場所を特定されないように電子機器を使っていません」

 バグダディは“ケータイ恐怖症”に近く、幹部会を開く時も出席者には所持を禁止している。本人がケータイに慄く理由はわかったが、市民にもそれを強要するのはなぜか。

「モスルで人間の盾になっている市民が携帯電話を持っていれば、米軍や、米国から情報を得たイラク政府軍がその場所を外して空爆することができる。バグダディは、そうした危険も理解しているので市民にも携帯電話を持たせないのです」(同)

 ケータイなしでは生きていけない。そんな我が国の女子高生が、これを知ったら何を思う。

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

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