「報ステ」富川アナに富山「チューリップテレビ」から抗議 政活費不正報道で

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 報道ステーションは、言わずもがなテレビ朝日の看板番組である。そのメインキャスターが古舘伊知郎氏から富川悠太アナ(40)に交代したのは今年春。それでも引き続き高視聴率を維持し、局側はホクホク顔とか。だが、ここに来て富山市議らの“辞職ドミノ”を巡る報道で、チョンボをやらかしてしまったのだ。

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富川悠太アナ(テレビ朝日アナウンサーズオフィシャルサイトより)

 問題になったのは10月12日の放送である。22時30分頃、富川氏が「さあ、この後は、3カ月で16人」と視聴者に語りかけ、一旦CMに入った。CMが明けると、彼は続けて、

「こちらに積まれているのは、富山の地元紙『北日本新聞』です。北日本新聞と言いますと、この夏からどんどん政務活動費の不正を暴いてきまして……」

 こう語ると、右手に積まれた北日本新聞の1面の記事を次々に紹介。さらに、

「(富山市議会の)議長まで、辞職ドミノが続いている。じゃあ、この不正をどうやって北日本新聞が暴いていったのか。今日はこの情報公開について考えていきます」

 すると、北日本新聞の編集局に場面が変って、同社の記者らが情報公開請求で膨大な領収書のコピーを取り寄せたこと、情報公開の不透明さなどを語ったのだ。

「ところが」と語るのは、あるテレ朝関係者だ。

「番組終了後、富山のチューリップテレビ(TBS系列)から抗議があった。放送の内容に一部誤りがあると指摘を受け、報ステの制作幹部が富山まで釈明に行ったようです」

 実際、チューリップテレビに聞くと、

「テレ朝さんには、まず電話で問合せをし、翌13日に当社の東京支社を通じ、文書で抗議しました」

 と、広報担当者は語る。

「スタジオでのリードの部分では、北日本新聞が全てスクープしたような形になっていた。ですが、事実関係としては、富山市議の不正を真っ先に報じたのは、うちの8月19日の『ニュース6』という夕方の番組なんです」

■事実誤認なので…

“リード部分”とは、先にご紹介した富川氏の語りの部分を指す。

「ただ、当社としては、北日本新聞と争うつもりは全くありません。政務活動費に関する一連の報道は、中川市議ですとか、9月12日の民進党系議員の不正発覚とか、当社がスクープしたものがある。だが、一連の辞職ドミノは、当社の記事のほか、他の地元メディアがそれぞれ不正を追及した結果です。単独の社が暴いたというコメントは事実誤認なので抗議しました」(同)

 報ステ関係者が、チューリップテレビ本社を訪れたのは10月17日で、

「先方は、そういうつもりではなかったが、結果として誤解を与えたかもしれない、その点に関しては申し訳ないということで、誠意を示すためにいらっしゃったということでした」(同)

 一方、テレ朝は、

「チューリップテレビ側から内容についてご意見をいただいたため、お訪ねして報道の趣旨を説明し、ご理解いただいたものと認識しています」(広報部)

 抗議ではなく、ご意見に対し説明しただけだと仰る。

「富山市議らの辞職ドミノについて、何の知識もない視聴者が報ステの放送を見たら、北日本新聞の独壇場だったと思うのも無理はありません。テレ朝が、東京からわざわざ釈明に来ること自体、異例中の異例。余程、分が悪いと思った証拠ですよ。大事になる前に幕引きを図ったということでしょう」(地元記者)

 要するに、報ステの番組作りが、少々荒っぽかったということである。違いますかな、富川キャスター。

特大ワイド「ふりむけば百鬼夜行」より

週刊新潮 2016年11月10日神帰月増大号掲載

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