漫画家転倒死、「リカンベント自転車」の特徴とは

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 国内で自転車といえば、ママチャリ。だが、思わぬ形で聞きなれない自転車が脚光を浴びてしまった。

 奈良県御所(ごせ)市の国道で、倒れている男性が見つかったのは、10月20日夜10時近くのこと。地元記者によると、

「現場は片側1車線の平坦な道路沿いの歩道です。顔や膝から血を流した男性を通行人が発見しました。救急車で搬送された約1時間後に、死亡が確認されています」

 亡くなったのは、大阪府に住む小路啓之(しょうじひろゆき)さん(46)。1997年、ちばてつや賞準大賞を受賞し、現在、週刊ヤングジャンプの増刊号に連載中の漫画家だった。

「小路さんは家族に“和歌山にサイクリングに行く”と伝えていて、実際、傍の歩道に自転車が倒れていました」(同)

 この自転車が一風変わっていた。奈良県警によると、

ヨーロッパでは一般的だそう

「背もたれがあり、仰向けに近い姿勢で運転するタイプです。タイヤは前輪が小さく、ペダルが前輪のさらに先にある。ハンドルは太ももの横にありました」

 実は、これが「リカンベント」という自転車。国内では10万円ほどから購入可能だ。NPO法人・自転車活用推進研究会の小林成基理事長によれば、

「スピードが出やすいのが特徴です。自転車の最大の敵は空気抵抗で、一般的な自転車は最高時速40キロほど。リカンベントは抵抗が減り、時速60キロほど出ます。逆に時速10キロ以下で走ることは難しい。バランスが取れずに倒れてしまうのです」

 すぐさま規制の声が上がりそうだが、小林氏はそれほど危険でもないという。

「自転車事故で亡くなるケースの6割が、頭部への損傷によるものです。いかに頭に受ける衝撃を減らすのが重要かということですが、通常の自転車はサドルに座ると、高さは150センチぐらいのところ、リカンベントは1メートル以下。仮に倒れたとしても、頭の位置が低い分、受ける衝撃も少ないのです」

 今回、ヘルメットは被っていなかったという。

週刊新潮 2016年11月3日号掲載

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