中日新監督は森氏…人事の裏に「白井オーナー」の落合GM切り

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中日ドラゴンズの本拠地「ナゴヤドーム」

 事前には小笠原道大2軍監督(42)の就任が有力視され、そう「断定」して書いたスポーツ紙もあったから、中日ドラゴンズの今回の発表には首を傾げた方も多かったのではないか。急転直下、新監督に就任したのはヘッドコーチを務めてきた森繁和氏(61)。驚くべき人事の裏には、「ドン」による「オレ流」斬りがあった。

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「私も“皆さんが言っていた人”が監督になると思っていた」

 9月29日、就任会見での森氏の言葉である。無論、“皆さんが言っていた人”とは小笠原氏のことで、つまり、当の森氏にとっても監督就任打診は青天の霹靂であったようなのだ。その裏に一体、何があったのか。実は、同じ会見で森氏がヒントになる発言をしている。落合博満GM(62)から何と言われたのかと記者から問われ、こう答えたのである。

「実はまだ電話連絡していない」――

 中日が谷繁元信監督の“休養”を発表したのは8月9日。その日から次期監督選びを巡るつばぜり合いが始まったわけだが、そもそも、谷繁氏の解任劇を主導したのは落合GM、そして「中日のドン」、白井文吾オーナー(88)であった。

「谷繁の“休養”が発表されると、“なぜ谷繁だけが辞めて落合は辞めないのか”との抗議電話が球団や中日新聞などに殺到した」

 と、球団関係者は言う。

「ところが落合はそんな批判はどこ吹く風といった感じで“次”の人事構想を練り始めた。彼のGMとしての任期は来年1月末までですが、その後も居座ろうと考えているのは明らかでした。この時点では、落合の庇護者である白井オーナーは、“落合を批判する声は一部からしか出ていない”とタカをくくっていた」

■「小笠原以外」

 ドンのバックアップを受けた落合GMは、

「9月上旬には小笠原本人に“次はお前”と言っており、言われた小笠原もその気になっていた」

 と、中日新聞関係者。

「しかし、9月中旬頃から白井オーナーの考えが変わってきた。落合への批判がおさまるどころかどんどん広がっていき、社内からの“落合辞めろコール”も大きくなるばかり。危機感を持った白井オーナーは“社内が融和する方向で動く”と言い出したのです」

 落合GMが推薦する小笠原氏を監督に選べば、ますます「内紛」は激化する。そこで「小笠原以外」を模索、森氏を監督にする案が急浮上したのである。

「そもそも森は落合が連れてきた“側近”。ただし、今回、監督就任を打診するにあたり、森には“来季、落合はいない”ということは通告してある。それに対して、“落合さんがいないなら受けない”と拒否することもできたが、彼は受諾した。落合との関係を切ってでも監督の椅子に座りたかったのでしょう」(同)

 一連の経緯について、白井オーナーは何と言うか。

――森監督就任にあたって落合GMと話し合いは?

「落合の許可を得たわけではない。球団のほうから通知はしたかもしれないが」

――あらかじめ知らせていたわけではない?

「そうそう」

 ドンも今回の監督人事の背景に「落合外し」があったことを暗に認めたのである。さらば落合GM、さらばオレ流――。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書」より

週刊新潮 2016年10月13日神無月増大号掲載

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