バスケBリーグ開幕 川淵三郎が改革、頼るは孫正義マネー

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 LEDが敷かれたコートの上で、文字通り、華々しく開幕したバスケットボール男子のBリーグ。Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏(79)が辣腕をふるった結果だが、実は、頼みの綱は「孫正義」マネー。繋ぎとめられるかどうか、心もとない状況だとか。

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「川淵さんで僕が気に入ったのは、“2つのリーグはまったく考えが違うから仲良くできない”と判断された点です。みな歩み寄らせようとしてきたのに、川淵さんは“あなたたちは仲が悪い。僕は新しいリーグを作るから、バスケをやりたいなら入って来なさい”と」

 そう語るのはスポーツドクターで、BリーグB2の東京エクセレンスを創立した辻秀一氏。バスケ男子リーグは10年もの間、NBLとbjリーグに分裂したままで、一昨年には国際連盟(FIBA)から国際試合の資格停止処分まで食らったことを思えば、よくぞまとまったものではある。

「元日本代表監督の小浜元孝さんが文科省に相談に行くと、“川淵さんがいいんじゃない?”と言われ、仕方なく頼んだところから改革が始まりました」

 と、Bリーグのさる幹部が打ち明ける。

「川淵さんはJBA(日本バスケットボール協会)の理事17~18人を総辞職させ、各都道府県から1、2名ずつ出ていた評議員も全員辞めさせました。旧態依然たる協会の血を一滴残らず変えないといけない、と」

 むろん、荒療治には反発がつきもので、1976年のモントリオール五輪で男子日本代表の監督を務めた吉田正彦氏が言う。

「バスケ社会にサッカーの人が来るのも、FIBAが制裁を解くまでの一過性のものだから納得したんです。ところが、川淵さんはそこで辞めずに院政を敷き、後継者にバレーボールの三屋裕子、Bリーグチェアマンに日本サッカー協会理事だった大河正明、JBA専務理事に日本サッカー協会元専務理事の田中道博を就けた。しかも3人の年俸は最高年俸選手より多い3000万円。2019年にはW杯がありますが、その予選の日程が全部Bリーグの日程と重なる。彼らはそこに何の手も打っていない」

華々しく開幕したBリーグ。この華やかさをいかに継続させることができるか(イメージ)

■東京五輪で善戦が条件

 一方、辻氏はこれに、

「自分では改革できなかった人たちが、“バスケを知らない奴らで大丈夫か”と言いますけど、僕はそういう姿勢は好きじゃない」

 その実、不満や怨嗟が渦巻いているのだ。しかも、そう語る辻氏にして、

「開幕戦はNBAなどと比べると、エンターテインメント性も試合レベルもまだまだで、プロになりきれていないと思いました」

 と、不安を口にする。

 ところで、そんなBリーグのスポンサーだが、

「昨年12月、Bリーグはお客の情報をデジタル化してため込む、という記事が日経新聞に載り、それを見たソフトバンクがアプローチしてきて、4年で125億円のスポンサー契約が結ばれました。ほかは富士通の4年で推定10億円を除けば少額。結果、B1とB2の全試合は、ソフトバンクのスマホなら月額500円で見られます。ドコモやauだと3000円です」(先のBリーグ幹部)

 つまり、Bリーグの存亡は“孫正義マネー”にかかっているというのだ。

「ソフトバンクとの契約が満了するまでにリーグを軌道に乗せないと。契約を更新してもらうには、東京五輪に出て、ある程度善戦することが必須です」(同)

 だが、日本男子は40年間も五輪と縁がない。最後に出場した五輪で代表監督を務めた吉田氏は、

「日本は今、アジア8位なので、東京五輪は開催国なのに、まだ出場権が得られません。FIBAは暗黙にW杯の本選に残ることを求めています」

 だが、Bリーグの日程はW杯予選と重なって――。後継者を1年半で“クビ”にした孫正義氏、案外、決断するのは早いですぞ。

週刊新潮 2016年10月6日号掲載

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