石原都知事時代に豊洲移転が急浮上した経緯

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石原慎太郎氏

 築地市場の水産仲卸業者の組合である東京魚市場卸協同組合(東卸)が全組合員投票を実施した結果、築地の「再整備賛成」を機関決定したのは1998年12月。しかし、石原慎太郎氏が都知事に就任した99年4月に行われた東卸の理事長選では、再整備派の理事長が敗れて移転派の理事長が誕生し、

「その後、9月に石原氏が築地を視察、“古い、狭い、危ないなあ”と発言し、11月には石原氏の腹心で副知事をしていた浜渦武生氏が豊洲先端部の売買について、地権者の東京ガスと交渉を始めています」

 そう語るのは、『貧困都政』の著者でルポライターの永尾俊彦氏である。

「東京ガスは土地の売却にかなり消極的だった。それに対して都は浜渦氏が中心になって交渉を重ね、01年7月に基本合意に至る。東京ガスが豊洲の土壌汚染の調査結果を公表したのは基本合意の半年前。石原氏は汚染を知っていたにもかかわらず、売却を渋る東京ガスから半ば強引に豊洲の土地を購入したのです」

 永尾氏はこの間の交渉経緯について都に情報公開請求を行ったが、出てきたのはほぼ全ページ真っ黒に塗りつぶされた文書だった。

「土地の売却を渋る東京ガスを説得するため、都はかなり譲歩したはずです。基本合意成立後の価格交渉の際も譲歩しています。通常、土壌が汚染されたような土地を買う場合、価格を割り引くのが当たり前。が、都は、売買価格を算出する際、財産価格審議会に“現在は汚染物質は存在していない”として通常価格で計算させている。なぜこのような経緯になったのか。都は一連の交渉過程を公開すべきです」(同)

 情報公開に熱心な小池知事のこと、真っ先に手をつけてくれるに違いない。

「特集 地下に溜まった怪しい強アルカリ水! ピラミッドより謎多き豊洲の巨大建造物! 意味不明が多すぎる『豊洲のパンドラ』20の疑問」より

週刊新潮 2016年9月29日号掲載

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