豊洲の共産党独自調査、発端は「匿名情報」

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豊洲新市場整備をめぐる重大な問題点と徹底検証のための提言(日本共産党東京都議会議員団公式サイトより)

〈汚染土壌を取り除いたあとに土を盛る「盛り土」が、主要な建物の地盤で行われていなかった〉

 と小池百合子都知事(64)が緊急記者会見で大要述べたのは、10日のこと。豊洲には、青果売場、水産卸売場、水産仲卸売場、管理施設、そして加工パッケージという5つの棟がある。全体の3分の1にあたる、それら建物の地下で盛り土処理がなされていないと公表したわけだ。もっとも、今回の騒動を物語ろうと思えば、8月下旬に遡らねばならない。というのも、ちょうどその頃、共産党にこんな匿名情報がもたらされていたからだ。

〈豊洲は全体的には盛り土がされておらず、地下に大きな空洞がある〉

 同党所属の曽根はじめ都議に聞くと、

「これをもとに、都の担当課長に質すと、“その通りです。ご覧になりますか”と言われました。そこで今月7日に豊洲新市場の地下へ入って調査したんです」

 その過程のなかでは、

「地下空間の水を採取しようとすると都の職員から、“やめていただけませんか”と制止を受ける場面がありました」

 他ならぬ「豊洲のパンドラ」の箱が開いた瞬間だった。社会部デスクの解説。

「週明けに発表予定の共産党は調査の中身を都知事側にも確認していました。それを察知した小池さんが、定例ではない緊急の会見で明らかにしたわけです」

 とは言うものの、

「知事や共産党のお蔭で不祥事が暴かれたという印象があるが、それは誤りです」

 と断じるのは京大大学院工学研究科教授の藤井聡氏。

「2年前の『技術会議』の資料に“建物部には盛り土せず地下施設がある”と示されている。更に2008年の同資料から、『地下空間』が何度も議論されていることがわかる。これら資料は都のHPで誰でも見られる」

 上を下への大騒ぎは、空騒ぎに終わるのか。

「特集 地下に溜まった怪しい強アルカリ水! ピラミッドより謎多き豊洲の巨大建造物! 意味不明が多すぎる『豊洲のパンドラ』20の疑問」より

週刊新潮 2016年9月29日号掲載

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