都庁幹部の天下り先だった「東京サマーランド」 傷害事件の対応に批判

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 被害者は、18歳から24歳までの女性ばかりが9人。8月21日に起きた傷害事件で、東京都あきる野市に本社を置く「東京サマーランド」の対応が批判されている。実はココ、一介のレジャー施設ではなく、都庁と密接な関係にあったのだ。

東京都庁

 事件が起きたのは、サマーランド内のコバルトビーチ。幅20メートル、長さ60メートルで1時間おきに3分間、人工的に大波が起きるビーチには当時、およそ1200人がいて“芋洗い”状態だったという。その日の午後1時20分、警備員が“お尻を切られて血を流している女性がいる”と、110番通報したのだった。全国紙の経済部記者が呆れ顔で語る。

「サマーランドは午後3時から波を出すのを中止しましたが、その後も平然と営業を続けていたのです。被害者が増えたことで営業を通常より30分早めて午後7時に終えたとはいえ、最後まで来場客に事件のアナウンスをしませんでした」

 サマーランドは4日間の休園後、コバルトビーチでの波を年内は中止するほか、一度に入る客数を最大650人に制限。また、入園口に金属探知機を設置して手荷物検査を実施すると発表して営業を再開した。

 事件発生前からプール内での痴漢被害の相談が寄せられていたため、地元警察はサマーランドに入場規制を要請していたという。

「アナウンスがなかったことは、記者会見でも“まるで、役所のような対応。事件を隠蔽しようとしたのでは”と追及されました」

 こう指摘するのは、レジャー業界担当のアナリストだ。

「親会社が都や区からの天下り先なので、役人気質がやはりある。記者の批判はあながち間違っていないと思います。サマーランドの親会社は、大井競馬場や伊勢崎オートレース場などを運営する一部上場の『東京都競馬株式会社』。筆頭株主は、発行済株式27・78%を保有する東京都なのですよ」

■元副知事が社長

 都庁と東京都競馬の繋がりは、株式ばかりではない。経済誌デスクによれば、

「1949年設立の東京都競馬は、局長クラスの都庁幹部の天下りを長年受け入れ続けています。現在の社長はサマーランドの会長を兼務する山口一久さんで、彼は石原都政時代の副知事でした。それ以外にも、監査役を含めた12人の役員のうち5人が元都庁幹部や元区長で占められている。ちなみに、彼らの平均年収は約1700万円に上ります」

 東京都競馬の有価証券報告書を見ると、2015年12月期決算は売上高が約184億5200万円で、経常利益は約46億9500万円といずれも前年度を上回っている。その一方で、

「サマーランドの昨年12月期決算は売上高約27億7800万円で、当期利益は約6100万円。前年同期比で売上高は横ばいですが、当期利益は半減している。その理由は“8月中旬以降の天候不順の影響による客足の伸び悩み”としています。地元警察の入場規制要請を無視してまで来場者を増やしたのは、売上げを回復して利益を増やしたかったのでしょう」(先のアナリスト)

 また、有価証券報告書「安全管理」の項目には“お客様の安全を最優先課題と認識し施設の安全管理の徹底を図っております”と記されていた。東京都競馬の広報担当者に聞くと、

「人災を防ぐために、安全対策は以前から実施していました。事件発生後も地元警察と相談して、最善の策を講じています。公共性の強い企業ですので、都や区のOBを役員に招聘し、有益な情報を得ています」

 が、安全は二の次としか見ていない天下り企業。どうにかしましょうよ、小池サン。

週刊新潮 2016年9月15日号掲載

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