リオ惨敗の日本女子マラソン お家芸から転落の理由
銀、銅、金、金も今は昔――1992年バルセロナ、96年アトランタの有森裕子、2000年シドニーの高橋尚子、そして04年アテネの野口みずき、と4大会連続でメダルを獲得した日本のお家芸、女子マラソンが暗黒時代を迎えている。
福士加代子(ワコールスパークエンジェルス公式サイトより)
今回のリオ五輪は、14位の福士加代子(34)が日本人最高位で、田中智美(28)が19位、伊藤舞(32)は46位に終わった。はっきり言って惨敗である。
「原因はいろいろ考えられますが、一つ挙げるとしたら“走り込み不足”です」
とスポーツジャーナリストの満薗文博氏が指摘する。
「有森は月1000キロ、高橋は月1200キロ走り込んでいました。それも、ただダラダラ走るのではなく、レースを想定して工夫を凝らしていました。今の選手にはそれが欠けています」
14年に日本陸連が発足させたマラソンのナショナルチームについても批判が噴出している。
「そもそもマラソンは個人種目ですし、走りのスタイルにはそれぞれ個性があります。それを一カ所に集めてトレーニングさせるなんてナンセンスです」(同)
毎度物議をかもす代表選考レースにも盲点があった。
リオ五輪を取材した大手紙記者が解説する。
「“牽制し合って凡レースになる”ということで、前回ロンドン大会の選考からペースメーカーを配置するようになったのですが、そのせいで日本選手は30キロ以降でしか戦えなくなってしまった。ペースメーカーがいない五輪本番では、スタートから駆け引きが始まるのです。実際、田中はレース後、“ペースのアップダウンが多くて難しかった”と話していました」
もっとも、満薗氏曰く、
「20年ぶりに5000メートルの決勝に出た上原美幸(20)ら、若手は着実に育っています」
“あの惨敗が転機だった”と4年後言えたらいいけど。