高島屋、ホーチミンにオープン “デパ地下文化の輸出”狙い

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 英シンクタンクが先ごろ発表した今年の「地球幸福度指数」で5位。日本の58位が仰ぎ見るアジア最高位はベトナムだった。

 前回2012年の調査では2位――考えてみれば日本の平均年齢が約46歳に対してベトナムは29・6歳。国が若く活気がある一方、平均寿命も73歳と長い。その上、人口も9000万人を超えるとなればその姿は高度成長期の日本にぴたりと重なる。経済成長率も15年以上、5%を下回ったことがないという優等生ぶりで、消費市場として世界から注目を浴びるのも無理のないところだ。

 そんなベトナム、人口800万人の最大都市ホーチミンに7月30日、日本の大手百貨店として初めて高島屋がオープンした。市内の一等地にそびえる地上5階、地下2階、総面積5万5500平方メートルという大型複合商業施設に145の専門店が軒を並べ、うち1万5000平方メートルを占めるのが高島屋。この施設の目玉だ。

期待が高まる船出だ

「ファッションや化粧品などにも力を入れていますが、日本文化の紹介も含めた“デパ地下文化の輸出”も大きな狙いです。食は大きな牽引力になりますから」

 とは同社の広報担当者。なんでも百貨店地下に人気店が一堂に会するあの馴染みの食品売場、いわゆる「デパ地下」は日本の百貨店独特のものだそう。

「和洋のスイーツにパンなど日本でもお馴染みのブランドに出店していただいていまして、初日からたいへんな人出でした。特に、ホーチミン高島屋ではうどんやラーメン、カレーライスやお寿司といったお料理は、店舗脇にすぐ食べられるイートイン・コーナーを設けたのですが、どこも人だかりでした」(同)

 日本のデパ地下ではイートインはほとんど見かけず、総菜売場が多い印象だが。

「実はホーチミンのデパ地下には1993年に開店したシンガポール高島屋のノウハウを注ぎ込んでいます。シンガポールの方々は外食が多いせいなのか、お総菜を販売してもあまり動かなかった。今の形態は試行錯誤の結果なのです」(同)

 アオザイのお嬢さんが和菓子を頬ばっていたそうだ。

週刊新潮 2016年8月11・18日夏季特大号掲載

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