ニュージーランド首相、ネズミ根絶を宣言 “飛べない鳥”激減で

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 ニュージーランド南北両島は、かつて海面下に没していたとする説がある。

 太古の地殻変動で両島は超大陸ゴンドワナの一部から約6000万年前に分離、後に沈没し、約2400万年前に再浮上したという。

 この説なら、なぜ独自の進化を遂げた生物が両島に多数存在するか説明できる。元の種の絶滅後、かつては飛行できたであろう“飛べない鳥”キーウィや“飛べないオウム”カカポ、“歩くコウモリ”といった種が飛来、捕食者のいない“楽園”でやがて彼らは飛ぶことをやめた、というわけだが、

キーウィ(写真・ゼータイメージ)

「世界的に貴重な固有種の減少にニュージーランドのジョン・キー首相は、2050年までにネズミなど外来害獣の国内根絶を宣言。世界初の試みに驚きが広がっています」(現地記者)

 ネズミの他に対象となるのはオコジョ、ポッサムなどニュージーランドには元来生息していなかった種だ。

「これら“害獣”が外敵に弱い鳥たちを年2500万羽も殺し、卵や雛が狙われたキーウィは週20羽のペースで減少、7万羽を割り込みました。カカポに到っては14年に126羽まで激減、絶滅寸前です」(同)

カカポ(写真・ゼータイメージ)

 農業などの経済損失も年約2500億円に及ぶ。

 動物行動学研究家の竹内久美子氏は言う。

「15年に生物学者のチームが南大西洋の島でネズミ駆除に成功した例はあります。が、その面積は3900平方キロ。今回のプロジェクトは27万平方キロという国土全体が対象で、現在の技術だけでは相当に困難な道のりです」

 日本の4分の3の面積に、あの繁殖力が広がるのだ。

「成功は祈りますが、“害獣”だってそもそもは人が持ち込んだ種です」(同)

 人間がネズミ退治のため導入したネコが同国の稀少な鳥を絶滅させた例もある。

 チュウ害ゼロはなるか。

週刊新潮 2016年8月11・18日夏季特大号掲載

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