「警官が銃を持たない5つの国」 米ワシントン・ポストが紹介

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 ドイツ・ミュンヘンでの18歳のイラン系少年による銃乱射事件は欧州に衝撃を与えたが、“本家”米国の銃事情も深刻だ。3億丁の銃が流通し、銃による死者数は交通事故死者数に匹敵する年間3万3000人超。その内、銃による殺人事件の死亡者数は年に1万人を超える。

「進まぬ銃規制に業を煮やしたか、米高級紙ワシントン・ポストが“警官が銃を持たない5つの国”という記事を掲載しています。挙げられたのは英国、アイルランド、ニュージーランド、ノルウェー、アイスランド。特殊部隊はもちろん銃を持っていますが、警官が警邏の際などは基本、持たない。にもかかわらず米国よりはるかに安全だと同紙は驚いているのです」(現地記者)

 米国の銃による殺人事件死亡者数の割合は、例えば英国の85倍以上に及ぶ。

「異色なのはアイスランド。銃所持率が30%以上あるのに銃による殺人事件死亡者は毎年1人いるかいないか。13年に史上初めて犯人射殺事案が生じると警察が謝罪する大問題になったほど凶悪事件が少ない。97%の国民が“中流”という格差の少ない社会であることが大きいのかもしれません」(同)

 また、英国の警官が銃を持たない伝統は19世紀に遡る。仏革命を機に誕生し、日本の警視庁が創設の際に手本としたパリ警察は国民監視も目的としたが、革命を警戒するロンドン警視庁は“市民の守護者”を任じ、警棒のみで警邏した。だが、それも変わりつつあると英国在住の国際ジャーナリスト、木村正人氏は言う。

「テロの続発を受け、警備の警官が自動小銃を携行したり、警官の射撃訓練が強化されるなどテロ対応が求められるようになっています」

 世界の趨勢はそちらか。

週刊新潮 2016年8月4日号掲載

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