渡辺徹、週に3回の人工透析…成人病のデパートに

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「国民的疾患」とされる糖尿病は、自覚症状が出た時には手遅れの場合が多い。そのため「サイレント・キラー」とも呼ばれるが、いまや患者数は310万人に達し、さらにその1割の約32万人が人工透析による治療を受けている。俳優の渡辺徹(55)もその1人で、いつの間にか“成人病のデパート”と化していた。

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かつては1食6000キロカロリーだった

 弱冠20歳にして、当時の人気刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で華々しくデビューした渡辺も、30年を経たいまは満身創痍の状態だ。

 30歳で糖尿病と診断されて以降、2012年4月には虚血性心疾患が判明し、完全に閉塞した冠動脈の血流を復活させるために、6時間ものカテーテル手術を受けて一命を取り留めた。

 それから1年も経たない13年3月には、急性膵炎で緊急入院を余儀なくされている。ともに糖尿病による合併症と見られるが、ベテラン芸能記者によれば、

「いずれも経過は順調と言われていました。ところが最近は、糖尿病がかなり進行しているというのです。腎機能が低下して慢性腎不全を発症したようで、いまでは週に3回、都内の有名な専門クリニックで人工透析を受けています。治療の事実を伏せているのは症状が芳しくないのか、イメージの低下を懸念しているのでしょう」

 闘病中ともなれば、CMやバラエティ番組などの出演オファーが見送られかねないのが芸能界である。

 腎臓疾患が専門の、南青山内科クリニックの鈴木孝子院長が解説する。

「慢性腎不全は糖尿病による合併症の多くの割合を占めています。簡単に言うと、腎臓で濾過(ろか)されるはずの老廃物が腎機能の低下によって体内に蓄積されることで、体に変調を来たすというもの。厚労省は全ての腎臓病を5段階に分類しています。慢性腎不全はこの分類の中で最も症状が進んでいるステージ5に相当します。渡辺さんは若い頃から糖尿病を患っていたということですから、食事制限や運動による体調管理の重要性を甘く見て、怠ってしまったのでしょう」

 透析は1回4時間、それを週に3回繰り返すことが基本だが、これが患者に与える大きな負担の一つという。

■医療費は全額免除

 加えて透析後に襲って来る強い疲労感や倦怠感も患者を悩ませる。

「渡辺さんのように大柄な場合(身長180センチ)は、1回の透析で2~3リットルの水分を抜くこともあります。短時間に大量の水分が失われるわけですから、中には100メートルを全力疾走した後のような疲労感を訴える患者さんもいますね」

 ただ、透析の間は比較的自由に過ごせるそうで、

「眠っていても、テレビを見ていても構いません。例えば、舞台や番組の脚本に目を通してお過ごしになることも可能ですよ」

 とはいえ、医療費は高額で、年間500万円から600万円に達するという。

「透析患者は重度の慢性腎不全患者として、身体障害者1級の認定を受けられます。これにより、医療費は全額免除されるのです」

 さて、渡辺に現在の症状について尋ねると、マネージャーを通じて、

「透析を受けているのは事実ですが、症状はそれほど重いものではありません」

 との回答が寄せられた。

 現在の主な仕事はテレビ番組のナレーターと、ラジオのパーソナリティ。時間の融通が利く芸能人だけに、仕事と治療の両立は上手く行われているようだ。

「ワイド特集 守ってあげたい」より

週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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