子どもを「持たない」のではない、「持てない」ショッキングな理由

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 女優の山口智子さんが女性誌のロングインタビューで語った「子どもを持たない人生」は、生き方の一つの選択として、おおむね肯定的にとらえられているようだ。少子化問題が叫ばれる今の日本で、「産まない選択」を声高に話すことはかなりの勇気がいるだろうし、出産を期待する周囲を適当にごまかしながら生きてゆく女性も多いはず。そんななかでの山口さんの発言は、子どものいない女性たちにとって、心強い援護射撃となったのかもしれない。

 しかし、その「産まない選択」の理由は人それぞれ。愛する夫と二人で生きていきたいから、という女性はよいとしても、「ある大きな問題」を抱えていることで、子どもを持ちたくないと考える女性たちが多いのも、また事実なのだ。

■女性を苦しめる「毒親」の存在

 女性は、幼いときから、一番身近な存在である女性――母親と自分を同一化して、絆を作ることによって、女性としての人生を理解していく。しかし、母親から愛されずに、虐待されたり、非難されたり、束縛されたり、ネグレクトされたり、冷淡に扱われたりしたらどうだろう。絆を築くどころか、そんな困った「毒親」のせいで、娘はたったひとりでもがき苦しむことになる。

「毒親」の影響とは…

「母に愛されなかった私には、人を愛する自信なんかない」「母が私にしたように、私も子どもに同じような仕打ちをしてしまうのではないか、怖い」……

 いまや一般的になった「毒親」という言葉を命名し、35年あまりセラピストとして母娘関係に悩む多くの女性たちを診てきたDr.スーザン・フォワードは近著『毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル』で、母親から精神的に根深い傷を与えられた娘は、その苦痛や恐怖をひきずったまま、子どもを産むことに尻込みしたり、母親になることを諦めてしまうケースが多いと語る。

■毒親に壊された心を取り戻す

 出産だけではない。進学や結婚、キャリアを決定しなければならない時にも、母親との問題が大きな「しこり」となって、消極的になってしまったり、ひいては自信をもって人生を歩めなくなってしまうというのだから、大問題だ。

 そしてそのまま40代、50代ともなれば、介護の問題も起きてくる。自分を苦しめてきた「毒親」を介護するという地獄……。

 いや、そうなる前に、愛情のない母親に育てられたという辛い過去を捨て、自分自身の人生を取り戻そう、必ず取り戻せる、とDr.スーザンは『毒親の棄て方』で語りかける。若い時に破壊されたものは二度と修復できない、なんてことはない。Dr.スーザンによる、多くの事例と親身で冷静な分析、対処法から、自尊心と明るい日々を取り戻す道が見いだせるはずだ。

デイリー新潮編集部

2016年7月14日掲載

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