離脱が劣勢のトランプの追い風に? 米国の移民措置も厳格化 英国EU離脱20の疑問(17)

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「EU離脱派」の急先鋒だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長(52)の顔と、ドナルド・トランプ(70)のそれ。並べてみれば、特徴的な髪型だけでなく、実に多くのパーツが似通っていることに気付くであろう。

 この2人、考え方も似ている。移民への距離感や、内向き志向の外交スタイルなど、少なからぬ共通点を持っているのだ。

 であるから、今回のイギリス「EU離脱」がトランプに“追い風”となるかに見えるのは当然で、

「トランプの反移民政策は、アメリカ国内では単なる人気取りの域を超え、広い範囲で支持を受けるようになってきました」

 と、福井県立大学の島田洋一教授(国際政治学)が言う。

「そうした流れに加え、今回のイギリス国民の選択によって主張の権威が格段に増した。つまり、彼の政策は、伝統あるヨーロッパの大国、そして世界の潮流と合致しているものと捉えられるようになったのです」

 英国国民投票の当日にも、着目すべき出来事があったという。

 全国紙のワシントン特派員によれば、

「アメリカにおいて不法移民は強制送還の対象になりますが、オバマ大統領は移民の子がアメリカにいる場合、その措置を保留してきました。しかし、連邦最高裁がこの命令の違憲判決を維持した。つまり、アメリカの司法も、移民に厳しい姿勢を取り始めたのです」

 こうして連日の“風”を受け、今日もトランプは帆を揚げる。

「依然としてヒラリー優勢は変わらない」(同)ものの、天の時を味方に付け、不気味な追い上げを見せているのである。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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