来春の仏大統領選、極右政党の勝利でEU離脱も… 英国EU離脱20の疑問(14)

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来春の「フランス大統領選」は一体どうなるのか?(写真はオランド現大統領)

 EUの分水嶺――そう目されているのが、来年4~5月の仏大統領選である。

 ここで離脱を唱える極右政党「国民戦線」のルペン女史(47)が当選すれば、フランスでも脱退が現実味を帯びてくる。イギリスに続いてフランスまで失っては、いよいよEUも風前の灯というワケだ。

「誰が大統領候補としてふさわしいか?」を問う最新の世論調査(5月22日)の数字を見ると、ルペンは25%と、右派「共和党」の有力候補者に続く2番目の数字を得ている。現職の左派「社会党」のオランド大統領に対しては既に2倍以上引き離しているのだ。

「支持率を見れば、ルペンが1度目の投票を勝ち抜き、決選投票へ進む可能性は十分にあると思います」

 とは、『EU騒乱』の著者で在仏ジャーナリストの広岡裕児氏。

「しかし、“ガラスの壁”と言われるように、極右は支持率50%を超えられないというジレンマが長く続いてきた。その点から、私は彼女が最終的に勝利を収めるのはかなり難しいのではないかと見ています」

 福井県立大学の島田洋一教授(国際政治学)はこんな見立てだ。

「シャルリー・エブド事件やパリ同時多発テロは移民系住民が起こした。『反移民政策』はイデオロギーと言うより、治安維持から見て正しい政策だという流れが浸透してきています。その中で、移民排斥を明確に掲げるルペンに支持は集まるでしょうし、大統領選は別にして、フランスでも『離脱』気運が高まっていくことは十分考えられます」

 欧州の歴史を左右する一大選挙となりそうである。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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