独・メルケル首相の報復宣言? EUの“交渉拒否” 英国EU離脱20の疑問(13)

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メルケル首相

 イギリスが離脱を決めた2日後(6月26日)、EUは「交渉」を行わないと発表した。EUに対する離脱通知は、文書か公式声明で充分というものだ。

「これは、ドイツ・メルケル首相のイギリスに対する報復宣言ですよ」

 と言うのは、EUを取材してきた特派員である。

「ドイツはEUのためにマルクを捨て、巨額の拠出金を払い、移民を多く受け入れてきたのですが――」

 一方イギリスはというと、

「EUの理事会が開かれると一番最後までゴネるのがイギリスです。シェンゲン協定(入管業務の撤廃)には入らないし、ポンドは維持している。そして、最後はちゃぶ台返しのような“離脱”。メルケルがキレるのも無理はありません」(同)

 ところで、冒頭の声明はどんな報復を意味するのだろうか。EUには非加盟でも、拠出金を払えば関税なしで交易に参加できる「フリートレード」という協定がある。スイスやノルウェーがこれにあたるが、

「そのためにはEUと交渉しなくてはならない。離脱の交渉をしないというのは、イギリスに当面、EUの対外関税率を適用するつもりでしょう。つまみ食いはさせないというわけです。イギリスの次の首相には離脱派のボリス・ジョンソンがなりそうですが、“あんたが出て来るなら話はしない”というメッセージでもある」(同)

 サッチャー女史と同じくメルケル氏も「鉄の女」と呼ばれている。もちろん、怒らせたら怖いのである。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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