“女性店員は谷間を見せてはならない”EUによる規制の真実 英国EU離脱20の疑問(7)

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EUにはおかしな規制が山積みというのは本当か?(写真はブリュッセルの欧州議会)

 移民問題に次ぎ、英国EU離脱の要因とされているのは、欧州委員会(EUの行政府)によるおかしな「規制」の数々である。

 象徴的なものを挙げれば、

○曲がったバナナは市場に流通させてはならない。

○エネルギー節約のため、強いモーターの掃除機は処分しなくてはならない。

○糖尿病患者は車の運転を禁止する。

○バーで女性店員は胸の谷間を見せてはならない。

 これらが「クレイジー」と批判され離脱気運を高めてきたのだ。

 しかし、全国紙の外信部記者によれば、

「例えば、曲がったバナナについては2009年に撤廃された規定ですし、掃除機も処分までする必要はありません。糖尿病は完全にデマですし、女性についても、経営者に出した『店員を日焼けさせないよう注意せよ』という訓示規定を曲解したものです」

 細かい規制が存在するのは事実だが、表に出ている中には、離脱派が曲げたり、大げさに宣伝したりしたものも少なくなかった。

EU崩壊』の著者でロンドン在住の国際ジャーナリスト・木村正人氏によれば、

「そうした件より、実際にイギリスで問題となっているのは、EUによる雇用条件や労働時間の縛りです。週当たりの労働時間を45時間としたり、年間4週間の有給休暇などが定められた『労働時間指令』があり、産業界からは労働市場を硬直化させていると改善を求める声が出ていました」

 誇り高き英国民は、自由を求めて軛(くびき)を逃れた。それが成功に終わるか否かは、今後を見るしかない。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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