ママの闘病、父親不在、自宅が火事……でも「いざという時、子どもは強い」

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 フリーアナウンサーで市川海老蔵さんの妻、小林麻央さん(33)が乳がんで闘病中というニュース。決して他人事ではないと感じた人も多かったのではないだろうか。実際、「がん検診、受けようと思う」という声がネットに多く上がっている。

 子どもを持つ親にとって、もうひとつ「他人事ではない」のは、子どもへの負担についてだ。我が家で何かが起きれば、その負担はどうしても子どもにのしかかる。

 海老蔵さんも会見後のブログで、麻央さんが再入院となるなか、自身は仕事で東京を離れることを綴っていた。もちろん周囲による手厚いサポートがあるだろうが、4歳と3歳という子ども2人にとっては、まさに非日常だろう。

 しかし、どんな家庭にも、突然の事態は起こり得る。親の急な病はもちろん、祖父母の死去、事件や事故もあるだろう。そんな時に、親はどうすべきなのか。

いざという時、子どもは強い


 名作絵本「ぐりとぐら」、17年間保母を勤めた中川李枝子さんは、ある子どもが火事で焼け出されてしまった事件をひも解きながら、こう語る。(以下、10万部突破のベストセラー『子どもはみんな問題児。』より引用) 
 
「みどり保育園に来ていた子の隣家が火事になり、家族を一晩保育園で預かったことがありました。弟と妹もいっしょでした。

 すると日頃おっとりした、ちょっと頼りのないお兄ちゃんが、いつもと全然違うのです。『お兄ちゃんの保育園だから大丈夫だよ』とおびえる幼い弟たちをなだめ、安心させ、しっかり守って園長先生を驚かせました。

 私たちはなんてえらい! と、その子をすっかり見直しました。

 困難なこと、いつもと違うことが生じたときは、子どもにきちんと説明するといいと思います。

 小さい子には分からないと、きめないで。

 堂々と話して、『よろしくね』と言ってご覧なさい。

 必ず分かってくれます。示す場がないだけで、子どもは思っているよりずっと偉いのです。そして役に立ちたくてたまらないのです。上手に付き合わなくちゃ」

 確かに、いくらドタバタした日常を過ごしていても、いつもの家庭内では子どもが真価を発揮する機会はそれほどないと言えるだろう。

 そうした時にはアドバイス通り、堂々と事情を話して「よろしくね」ということを心掛けたい。

 それにしてもなぜ、中川さんはここまで「子どもは親が思うよりずっと偉い」と言い切れるのだろうか。

「子どもはあなたよりちょっと賢い。

 だって誰でも、自分にはないいいところを持つ人を結婚相手に選ぶでしょう。だとすれば子どもにはお母さんのいいところと、お父さんのいいところが入っているのですから」

 保母として数多くの子どもを預かり、作家として日本中の子どもたちを楽しませてきた人の言葉は、深くて優しい。

 そして揺れる親の心も、すっと晴れやかにしてくれる。

デイリー新潮編集部

2016年7月8日掲載

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