フロリダ銃乱射事件で半自動小銃の売上げ増 犯人使用のAR-15にプレミア

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 酒とダンスと音楽を楽しむ客がひしめく深夜のゲイ・クラブ。フロリダ・オーランド市の〈パルス〉店内に無差別に発射された銃弾は49人もの犠牲者を生んだ。

 米国史上最悪の銃乱射事件を受けて、米下院では銃規制強化を求めて民主党議員たちが25時間以上の座り込みを行い、各地でLGBT(性的マイノリティー)が「あと何人死ねばよいのか」とデモ行進。その一方、全米で銃の売り上げが飛躍的に伸びている。

「中でも、事件で使われたAR-15という半自動小銃がバカ売れです。普段は1日4丁程が売れていた銃砲店で事件後、1時間で15丁が売れたと報道され、あるオンラインショップではやはり事件後3万丁が売れたそうです。在庫の払底から価格にプレミアがつき、元々500ドル(約5万円)程度だった価格が3000ドル(約30万円)まで上昇する勢い。投資目的での購入も多いようです」(現地記者)

 半自動小銃とは、弾倉からの銃弾の装填は自動だが、弾を発射するには1発ごとに引き金を引かねばならない銃のこと。1回引き金を引けば連射が可能な自動小銃は購入に規制があるが、半自動小銃は全米どこでも簡単に買える。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は言う。

「AR-15の軍用版がM-16と呼ばれますが、違いは基本的にありません。アメリカで最もポピュラーなアサルト・ライフルで、最前線で使われる突撃銃です。屋外戦闘を想定した射程と殺傷能力を持ち、SWATなど特殊部隊や法執行機関が使用しますが、一般家庭にあるような代物ではありませんよ」

 これまでも銃乱射事件でたびたび使用されたが、規制はなかなか進まない。

「こんなものが大量に市中に出回り犯罪に使われたら、警官隊が制圧のため応戦するのも一苦労ですよ」(同)

 皮肉にも、オバマや民主党が規制を叫ぶほどに増える銃需要。同性愛者の銃愛好会の会員数も事件後1週間で4倍に増えたという。

 恐怖が銃を増やすのだ。

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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