ポスト舛添の民進党候補――長島議員は“相乗り候補”、宇都宮弁護士は反原発がネックに

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 6月21日付で都知事の座を降りた舛添要一氏(67)。その後継者候補として、様々な人物の名が挙がっている。自民党候補として取り沙汰されるのは、小池百合子元防衛相(63)、丸川珠代環境相(45)、“櫻井パパ”こと櫻井俊前総務事務次官(62)のほか、村木厚子前厚労事務次官(60)や、齋木尚子外務省国際法局長(57)。加えて党の都連幹部は「都連会長の石原伸晃経済再生担当大臣に白羽の矢が立つことになる公算が大」と語った。

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 ならば、民進党はどうなのか。

 最初に、名前が挙がったのは、長島昭久衆院議員(54)だった。

 民進党の関係者が言う。

「実は、長島さんの出馬説は安倍官邸が火元で、こちらと相乗りできる候補として検討していた。長島さんはもともと、石原伸晃さんの秘書だし、麻生副総理とはいまも一緒に食事をする間柄。打ち出している安全保障の政策なども自民党とほぼ同じで、与(くみ)し易かったはずです」

 しかし、肝心の民進党からは、一切、擁立に向けた動きは出ていない。

「党内では、全面対決の参院選が終わった直後、都知事選になったらコロッと一緒に戦うようなことはできないという意見が大勢を占めている。枝野幸男幹事長も記者会見で、“自公との相乗りを唱えるのは、反党行為だ”と断言しました」(同)

 とはいえ、自民党よりも、候補者選びが難航しているのは否めないという。

宇都宮健児弁護士(69)

■“反原発がネック”の宇都宮健児弁護士

 目下、都知事選出馬への旗幟を鮮明にしているのは、宇都宮健児弁護士(69)だけである。2年前に行われた都知事選では、共産党、社民党などの推薦を受け、舛添前都知事の211万票に次いで、98万票を獲得した実績を持っている。

 政治部デスクの話では、

「民進党で目ぼしい候補が見つけられなければ、共産党との統一候補の道を探るしかない。その際、宇都宮さんが有力になってくるのでしょうが、ネックとなるのは、民進党には電力会社の労働組合である電力総連からバックアップを受けている議員が少なくないことです」

 そのため、“反原発の闘士”として知られる宇都宮弁護士に、党全体で相乗りするのは難しいと見られている。

「前回の都知事選では、民主党が推した細川護熙さんは95万票を集め、宇都宮さんの分と合わせれば200万票弱。今度の選挙では、この数字から、“反発派”分を引くことになるから、当選ラインの200万票には到底、届きません」(同)

■共産党からの相乗り提案も

 むろん、民進党は独自候補を立てるべく、官僚出身者にも触手を伸ばしている。そのうちの1人が、片山善博前鳥取県知事(64)だ。

「旧自治省の出身で、鳥取県知事を2期務めたあと、菅直人政権では、“地方自治のエキスパート”として、総務大臣にも抜擢されました。ここ最近は、テレビの情報番組にちょくちょく出演し、名前も広く知られるようになっている。片山さんなら、逆に共産党などから相乗りを提案され、その結果、野党統一候補というかたちになることもあり得ます」(同)

 いずれにせよ、ポスト舛添争いは、各党ともに、“いい顔”が見つからず、混迷を極めている。このまま、誰もが納得できる候補者は出て来ないのかもしれない。しかし、政治家の資質に欠けるような人物を再度選び、恥の上塗りをするような真似だけは、絶対に避けなければならないのだ。

「特集 いい顔が見つからない『東京都知事選』の陰謀」より

週刊新潮 2016年6月30日号掲載

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