舛添元都知事をなかなか追い込めなかった都議会 議長と“ドン”の意向に逆らえず

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 舛添騒動にイライラを感じている貴方、それは何も舛添氏だけが原因ではないのでは? 彼の白々しい言い訳はもちろんのこと、そんな都知事をなかなか追い込めなかった都議会の存在が、諸賢の苛立ちに拍車を掛けたのではなかろうか。が、それも無理からぬことで、なにしろ自公の都議は「ドン」と「議長」の意向を無視できないのだから。

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舛添要一元都知事

 内田茂都議(77)、人呼んで「都議会のドン」。都議ながら、安倍晋三総理も彼の妻の葬儀に駆け付けたほどの政治力を誇る。その源泉は当選7回の豊富な都政経験とともに、森喜朗元総理ら中央政界との太いパイプにある。

「内田さんは議会後のぶら下がり取材に応じないばかりか、記者との懇談もやらず、『ミステリアス』な存在と化している。それが逆に何を考えているか分からない雰囲気を醸し出しています」(都庁担当記者)

 そんなドンが、舛添氏の当面の続投を認めたことは本誌(「週刊新潮」6月9日号)で報じた通りだが、その結果、

「9日の総務委員会で、都議会の会期末である15日をまたいで、20日にも総務委員会を開き、閉会中審査することを決めた。内田さんの意を受けて結論を先延ばしする計画でした」(同)

 これでは、例えば13日の総務委員会で、共産党都議が問題の「ホテル三日月」に実際に自身で宿泊してみた上で舛添氏の矛盾を追及したような迫力を、与党議員から感じられなかったのは当然とも言えよう。

■「似た者同士」

 このように、都議会で絶大なる影響力を誇る内田氏。そして彼の最側近が、現在、同議会の議長を務める川井しげお氏(68)だ。

「石原慎太郎都政下で、当時、都連幹事長だった内田さんの更迭論が持ち上がった際に、川井さんは内田さん更迭派だった東京選出の自民党代議士に対して、目の前で机をボンッと叩いて威嚇したほどの内田信者です」(都政関係者)

 ドンの忠実なる僕(しもべ)である自民党出身の都議が議長の椅子に座っているとなれば、これまた自公議員による舛添追及が鈍くなるのも当たり前である。しかも、川井氏に関しては、

「『ミニ舛添』の疑惑があるんです」

 と、都庁関係者が明かす。

「川井さんは毎月の事務所家賃25万円を、彼のお兄さんが役員に名を連ね、その妻が代表を務めている会社に払っています。つまり川井さんは親族企業に家賃を納めているわけですが、その金の出所の半分は政務活動費(旧政務調査費)、すなわち税金です」

 舛添氏も自身の政治団体がファミリー企業に家賃を払っていたことが明らかになっている。政治とカネに詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。

「地方議会の中には、親族企業に公費から家賃を支出することはできないと定めているところもあります。税金で親族を不当に儲けさせる議員が出てきかねないからです。こうした疑念を持たれないためにも、親族関連会社に政務活動費で家賃を払うことは道義的に慎むべきと言えます」

 当の川井氏は、

「道義上も何も、都議会のマニュアルを守っています」

 と、問題なしとの見解。

 兎(と)にも角(かく)にも、一旦は舛添氏を守ろうとしたドンとその側近議長のもとでは、都議会が引導を渡すのに時間が掛かったのも頷ける話で……。

 長引いた舛添問題のイライラを解消するには、ホテル三日月にでも行って温泉につかる以外になさそうだ。

「特集 今や都民1300万人の心が一つに! 白々しい言い訳はもう聞き飽きた! さよなら『舛添要一』都知事」より

週刊新潮 2016年6月23日号掲載

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