佐藤ゆかり、産経新聞への“見せしめ”提訴を撤回…自民党本部からの「待った」で

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 刺客として送り込まれた岐阜を皮切りに東京、参院、大阪と、いまや彼女ほど“政界渡り鳥”の名が相応しい存在もあるまい。しかも、立つ鳥跡を濁さずどころか、数々の“地元”でトラブルを起こし続けてきたのが佐藤ゆかり代議士(54)。それは一昨年末に舞い降りた大阪11区でも同じだった。自らの政治資金問題を巡り、産経新聞を提訴すると息巻いたものの……。

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身内と争うのは“刺客”のクセ

 大阪府政記者会に“衆議院議員 佐藤ゆかり”名のリリースが届けられたのは5月12日のことだった。

 A4用紙3枚に及ぶ文書の冒頭には、こう綴られている。曰く、

〈産経新聞に対しては、名誉毀損による損害賠償及び謝罪広告の掲載を求める民事訴訟を提起した〉

 事の発端は、昨年9月に発覚した彼女の不明朗な会計処理。お膝元の枚方(ひらかた)市で支部長を務める出来成元(できしげちか)・前府議(67)を介し、複数の地元業者から200万円の献金を受け取ったものの、政治資金収支報告書に記載しなかったことが問題視されている。

 このカネについて、「業者から直接受け取った預り金で、5カ月後に返金した」という佐藤氏と、「迂回献金だった」と主張する出来氏の見解は真っ向から対立し、先月には双方が大阪地検に告発し合う異常事態へと発展したのだ。

 府連関係者が嘆息交じりに明かす。

「佐藤さんはこの件で5月12日に釈明会見を開くつもりやった。ただ、谷垣幹事長にこっぴどく叱られてお流れになったんですわ。参院選前の大事な時期に“身内”の争いを触れ回っとる場合か、いうこと。それで、収まらん彼女は例の文書をバラ撒いたんや」

 そして、身の潔白を主張する文書のなかで、疑惑をスッパ抜いた産経新聞への提訴をぶち上げたのだ。

■嘆願書に署名

 だが、在阪局の府政担当記者によれば、

「佐藤さんの政治資金問題は、産経以外の各社もほぼ同じ内容を報じています。この件に関する報道を封じ込めるため、初報を流した産経を見せしめとして訴えたとしか思えない。提訴について知らされていなかった府連幹部から聞こえてくるのは、“そんなもん知ってたら止めとるがな!”という声ばかりです。結局、会見と同じく党本部から“待った”が掛かって、先月末に〈提訴の取り下げ〉を発表することになりました」

 要は、府連副会長という要職にありながら、独り相撲で組織を迷走させているワケだ。とはいえ、彼女のトラブルメーカーぶりは知られたところである。

 小誌(「週刊新潮」)が報じた江崎洋一郎元代議士との不倫デートや、岐阜県連を二分させた野田聖子代議士との泥沼の公認争いはご記憶の向きも多かろう。

 新たな地元である大阪11区でも、彼女にまつわる騒動は枚挙に遑(いとま)がない。

「つい先日も、枚方市議が“佐藤さんの公認を求めます”という趣旨の嘆願書に署名を迫られとった。そのことを府連の幹部に相談したら、“署名など必要ない”と言下に否定されたそうやけどね。彼女は衆院選で市議や府議の支援者を総動員させながら、去年の統一地方選では自分の後援会を動かさず地元の信頼を失った。振り回され続けた女性秘書も今年に入って辞めとる。彼女を諭すスタッフがおらんから無茶な提訴に踏み切って、その挙句に撤回するハメになったんや」(先の府連関係者)

 身内からもメディアからも総スカンでは、縁も“ゆかり”もない地元をまとめられるはずがなかろう。

「ワイド特集 うまい話に裏がある!」より

週刊新潮 2016年6月16日号掲載

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