サニブラウンの険しきリオ五輪への道 取材お断りのピリピリムード

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

 サニブラウン・ハキーム(17)といえば、桐生祥秀(20)と並んで注目を集めるスプリンター。“リオ五輪でも当然走るんでしょ”と思い込んでいる方も多かろう。

 だが実のところ、彼にとってリオへの道はかなり険しいものとなっている。

「1種目につき最大で3人が出場できますが……」

 と大手紙陸上記者が語る。

「まず、“日本人初の9秒台”が話題の100メートル。国際陸連が定めるリオ五輪参加標準記録10秒16をクリアしているのは、桐生の他に山縣亮太、高瀬慧、ケンブリッジ飛鳥の計4人。高瀬はリオでは100メートルを回避する見込みですが、まだ参加標準を切っていないサニブラウンは4番手以下ということになります」

 もっとも、サニブラウンは100メートルより200メートルが得意。そちらはどうか。

「200メートルは更に熾烈な争いになっています。日本陸連は、参加標準より厳しくて世界ランク12位に相当する“派遣設定記録”20秒28を掲げていますが、既に高瀬と藤光謙司が突破済み。残り1枠を飯塚翔太(24)とサニブラウンが争っているのですが、飯塚は知名度こそ低いものの、2010年世界ジュニアで金メダルを獲得するなど、“和製ボルト”の呼び声が高い逸材です」

 そして6月5日、鳥取陸協主催の「布勢スプリント」なるローカルな大会に彼らの多くが出場した。サニブラウンも出場予定だったが、調整不足により欠場。代表選考の最終決戦は6月第4週の日本選手権なのだが、

「派遣設定をクリアし、有利な条件で本番を戦いたかった。布勢は風向きで使用コースを選ぶ上、好記録が出やすいので人気なんです。勿論サニブラウンは参加標準狙いでした。ただ、彼の周辺が妙にピリピリしていて、取材要項に“サニブラウンへの囲み取材・インタビューはお断り。ただし好記録が出た場合のみ中継局がインタビューするので、その模様は取材しても良い”と。まだ高校生とはいえ、前代未聞の過保護ぶりに呆れました」

 うーん。メンタル面でもリオはまだまだ、かな。

週刊新潮 2016年6月9日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。