コンビニ、私有地もない島で育った沖縄の野生児 重量挙げでリオ代表に

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 久高(くだか)島――沖縄本島南東海上に浮かぶ周囲8キロの小さな島。住民は200人足らずで、スーパーもコンビニも床屋もない。“土地は神様からの借りもの”との考えから、私有地はなく、“神の島”とも呼ばれている。近年はパワースポットとして観光客に人気がある。

 そんな小島からオリンピック選手が誕生しそうだ。

 糸数陽一(25)。21日に行われた重量挙げ五輪代表選考会兼全日本選手権で62キロ級に出場した彼は、ジャークで168キロの日本新をマークし、3連覇を果たした。

「男子の出場枠は、全階級で1つだけ。今大会の記録を世界の記録と照らし合わせて最も上位が見込める選手が代表に選ばれます」

 と説明する大手紙五輪担当記者によると、

「正式には28日の理事会で決まりますが、糸数は当確。ちなみに彼は、前回のロンドン五輪では僅か1キロ差で代表入りを逃しました」

 島民たちの期待も一入(ひとしお)だ。

「正月に島に帰ってきたとき、“おじさんを捕まえに来た”とおどけてました」

 と語るのは久高島振興会の内間佑二さん。糸数は現在、警視庁に勤務している。

「子供の頃から筋肉質で、バネがありました。よく防波堤から飛び込んで遊んでいましたよ」(同)

 島ではゲーム機で遊ぶ子は皆無。素潜りで誰が一番大きな石を持って来られるかを競ったり、島全体を使ってドロケイごっこをしたりして遊んだ。つまり、沖縄の自然が、警視庁勤務の重量挙げオリンピック選手を育てたわけだ。

「島で部活といえば、少人数でもできるバドミントンですが、陽一は球技はダメでしたね。代わりに基礎体力が図抜けてて、小6で走り幅跳び県代表に。重量挙げは高校から始め、高3でルーマニアに行って、世界ジュニアの銅メダルを獲得しました」(同)

 リオで野生パワー全開!

週刊新潮 2016年6月2日号掲載

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