共同通信の「北朝鮮・平壌支局」に撤退の噂 開設10年で

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 7発ものスカッド、ノドン、テポドン2が飛び交った2006年、日本のメディアで初めて平壌に支局を開設したのが共同通信だ。

「あの当時、西側で支局があったのは米AP通信の子会社だけ。金正日の単独インタビューや体制崩壊の瞬間を狙って日本の各大手メディアも支局開設が悲願でしたが、金星を射止めたのは共同通信。その平壌支局を閉鎖するという話が浮上しているのです」(関係者)

観光客が増えている北朝鮮・平壌

 朝鮮中央通信社の本社内にあるこの支局、日本人記者は常駐できず、支局長は北京総局長が兼務、必要に応じて記者が入国する仕組み。現地職員が頼りだが、北の思惑通りの報道しかできないのでは、といった懸念が内外から聞かれ、単独取材も夢のまま金正日は11年に死去、金正恩体制はご覧の通り――。13年の飯島勲内閣官房参与訪朝の際には映像をいち早く押さえて面目を施したものの、バカにならないと言われる維持費用を払いつつ早や10年である。

 拓殖大学大学院の武貞秀士特任教授は言う。

「外貨獲得を狙って観光客誘致に熱心な今の体制ではビザも下りやすく、CNNなど支局がないメディアも活発に取材しています。支局があるメリットは少なくなったでしょうね」

 共同通信総務局は「平壌支局を閉鎖するという事実は一切ありません」と否定するが、早稲田大学の重村智計名誉教授はこうも言う。

「撤退するなら大英断ですよ。支局があの国の“人質”になっていては筆も鈍る」

 その上金まで落としてやって、とは余計なお世話か。

週刊新潮 2016年5月26日号掲載

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