サンダース支持者がトランプ支持に回ったら……本戦での勝利の可能性も

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 ニューヨークでも勝利を収め、破顔するこの男にげんなりした向きも多かろう。「メキシコ国境に壁を!」「雇用を奪う日本や中国は高関税で懲らしめる」「日米安保は不平等だ」などとのたまう「暴言王」ドナルド・トランプ(69)の進撃が止まらない。

「トランプは大統領候補に選ばれるために必要な共和党代議員の過半数、1237人を獲得する可能性を依然、残していますし、過半数に達しなくとも決選投票には残るでしょう。さらに言えば、決選投票に敗れても、党を割って本選に出ることも考えられる」(国際部記者)

 11月に始まる大統領選の本選でも、尊顔を拝む可能性がかなり高くなったのだ。

「トランプ氏が大統領候補となると共和党は苦しい」

 とは外交ジャーナリストの手嶋龍一氏だ。

「トランプ氏は共和党の理念に反する主張を繰り返しています。共和党を崩壊させかねません」

 アメリカの二大政党制の歴史は19世紀後半、南北戦争に遡る。共和党は北部の商工業者や労働者、解放奴隷をそもそもの支持基盤とし、民主党は南部の農園主や保守系白人が支持層だった。歴史的に共和党は「小さな政府、自由貿易、世界の警察官」を掲げてきたが、冒頭のトランプの主張とは確かに正反対。危うい均衡を保ってきた共和党内の“活断層”がズレかねない。

「しかも、民主党候補がヒラリー・クリントンならトランプは敗れるだろう、という一部の識者の予想も揺らぎ始めています」(同)

 民主党の候補選では500名いる特別代議員の支持が厚いヒラリーが最終的には勝つだろうと見られているが、選挙戦では若年層や低所得層が支持するバーニー・サンダースの支持率が急上昇してヒラリーを猛追。このサンダース支持層が本選ではトランプ支持に回るかもしれないというのだ。

「トランプとサンダースに共通するのは〈アウトサイダー〉ということ。無党派層が最多を占める現在、ワシントンやニューヨークに象徴される、既存の政治・資本体制を支えてきた〈エスタブリッシュメント〉への異議が高まり続ければ、共和党ばかりか民主党にも影響が及ぶでしょう」(同)

 超大国の根幹〈二大政党制〉を揺るがしかねない様相を呈し始めているのだ。

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載

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