「死刑囚の告白」殺人 所轄署長が怠慢を認めた 「連絡したけど繋がらなかった」?!

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 今年2月より「週刊新潮」が報じてきた、前橋スナック銃乱射事件(2003年発生)の首謀者・矢野治死刑囚(67)の手紙に基づく“闇から闇に葬られていた殺人事件”特集。捜索によって、4月19日に神奈川県・伊勢原市の山中から不動産業者の津川静夫さん(失踪時60歳)の遺体が発見され、矢野の告白が真実であることが証明された。編集部は、手紙にあった遺体遺棄役の結城実氏(仮名)と接触し、説得の末、遺棄の経緯・場所の証言を引き出している。が、編集部と同時に、矢野からの告白の書を受け取っていた警視庁目白警察署・渋谷警察署はこれを放置していたのだ。

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「捜査中だった」

「関係者をリストアップし、現在の所在を割り出すのに時間がかかっている」

「捜査の人員が足りない」

 本誌(「週刊新潮」)の記事が発信されると、目白署の幹部は、メディアの取材にこうした言い訳を並べていたという。

 しかしこれは明らかに虚偽である。なぜなら警察はいの一番に行うべき作業に着手していなかったからだ。驚くなかれ、矢野が死体遺棄役と告げ、連絡先まで示した結城氏に、ただの一度もコンタクトすら取らずじまいだったのである。捜査関係者が声を潜めて語る。

「実は事案の大きさに鑑み、目白署は矢野の告白について、警視庁本部の組織犯罪対策第四課長(暴力団事件担当)に報告を上げていました。しかし、なぜか組対四課長の反応は鈍かった」

 つまり、捜査放棄は、所轄レベルだけの判断ではなく、暴力団事件の捜査を指揮する組対四課長のもと、本部ぐるみで行われていたことになる。

「組対四課は昨年から、暴力団に多額の資金が流れ、タレント女医も関与していた診療報酬詐欺事件に注力し、200人超の人員のうち約半分を投入してきました。その後はプロ野球界での賭博問題も浮上し、確かに忙しかった。とはいえ、矢野の事案はそれ以前に関知しており、やはり捜査放棄との謗りは免れないでしょう。組対四課長が的確な捜査指揮を執っていれば、津川さんの遺体が発見されるのに、これほどの時間はかからなかった。週刊新潮が記事にしていなければ、捜査自体が人知れず封印されていたかもしれません」(同)

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