たった6日で熊本地震・対策本部長から降ろされた「松本文明」のお粗末さ

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 いささか旧聞に属するが、「震災」「松本」「更迭」といえば、民主党政権下で起きた東日本大震災当時、支離滅裂な言動を重ねて8日間で復興担当相を辞した松本龍・元議員であった。が、今回の松本文明・内閣府副大臣も負けず劣らずのお粗末ぶりである。何しろ、わずか6日間で現地の対策本部長職から引きずり降ろされ、帰京を余儀なくされてしまったのだ。政治部デスクの話。

「“前震”から一夜明けた15日早朝、東京を発って対策本部のある熊本県庁に入った副大臣は、蒲島郁夫県知事と会談し『屋外避難をなくしてほしい』と政府の意向を伝えたのですが、知事は『現場を何も分かっていない』と猛反発。これがケチのつき始めでした」

地震で被害を受けた熊本城

 翌日には政府とのテレビ会議の場で、

〈食べるものがないので戦えない。バナナでもおにぎりでも、差し入れを近くの先生からお願いできないか〉

 と、我先に河野太郎防災担当相に要請。これがトドメをさす格好で20日、「体力的な問題」との理由で本部長交代が発表され、事実上の更迭となったのだった。

 その日の夜、ご本人は官邸で安倍総理と面会したのち、記者団相手に埒もない弁明を繰り返していた。いわく、

〈現地での食事はみなコンビニで弁当を買っているというので、自分の分を1万円渡したが、本震で1軒も開かなくなった。だからテレビ会議で大臣にコンビニを開けさせてくださいと頼んだ〉

〈私の部下がカップラーメンを持ってきたが、お湯が出ないので食べられないとも(大臣には)言った〉

〈開いている店を見つけ、どら焼きを1万円出して買ってみんなで食べた〉

 等々。21日の衆院総務委員会で副大臣に質した民進党の高井崇志議員は、

「差し入れを頼むのならば会議後、内々にすべきでした。かりに周りのスタッフを案じての発言だとしても、おにぎり1つ食べられない方々がいる状況で、県職員も参加しているテレビ会議という公の場でなされたわけですから、被災地に寄り添っている態度とは到底思えません」

■“人選ミス”

 松本副大臣は都議を4期務めた後、2005年に初当選。現在当選3回だが、地元の東京7区では民進党の長妻昭元厚労相に連敗中で、いずれも比例での復活当選。2回続けて自民が都内で唯一落とした選挙区となっている。

「初陣となった03年、大学生に報酬を渡して運動員が逮捕されています。また昨秋、副大臣就任直後には、選挙区内の葬儀で供花代を支出していたことが、自身が代表を務める党支部の収支報告書によって判明。議員名を表記または類推させる方法での供花は公選法に抵触するのですが、事務所は『お世話になった方に支部名で花を出した』と説明するばかりでした」(前出デスク)

 そうした経歴もあり、さる自民党関係者は、

「現地本部長にしたのは人選ミス。安倍総理が、たたき上げという経歴を過大評価した面は否めません。今回のような突発事態の現場への対応能力など、そもそも持ち合わせていないのです」

 というのも、

「都議時代から、訳もわからず役人に食ってかかることで知られていた。いわば『噛ませ犬』とみなされていて、野党とコトを構えたい時は、彼を使ってけしかけるのが都議会自民党の戦法でした」(同)

 本来、国政に出るような人物ではなかったというのだが、

「そうこうするうちに年次も上がってしまい、副大臣に起用したところ案の定失敗した。そんな典型例です」(同)

 今回も対策本部に自衛隊が到着した折、職員の作業を中断させて拍手を強いたと囁かれているのだが、

「自衛隊幹部が激励に来られた際、挨拶を頂きました。その際に拍手が起こったことは事実です」(松本事務所)

 だそうだ。

「特集 『安倍内閣』熊本支援の失態失策大失敗」より

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載

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