頻発する大地震に地震保険は必要なの? 掛け金39%アップのケースも

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 備えあれば憂いなし。「まさかの時のために保険には入っておいた方がいい」と言われる。だが、地震保険についていえば、その加入率は未だに高くはない。しかも大地震が頻発しているせいもあって、掛け金はますます上がるというのだ。

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地震の爪痕

 まず、損保ジャパン日本興亜ホールディングスの広報担当者に聞くと、

「14日の地震発生以来、17日の午後5時までにお客様から6000本のお電話をいただきました。ほとんどが、地震で家屋が被災し、損壊したという連絡です」

 そのためオペレーターを増員し、24時間体制で応対しているという。もっとも、地震保険の加入率は、

「阪神大震災の頃は、全国平均で9%程度。東日本大震災の前は24%、2011年度は26%、14年度には28・8%までようやく増えました」(業界関係者)

 そもそも地震保険は、単独では加入できず、必ず火災保険とセットで契約することになっている。今回、壊滅的な打撃を受けた熊本県における14年度の地震保険の加入率は28・5%で、全国平均とほぼ同じだという。先の業界関係者が言う。

「47都道府県の地震保険の保険料(掛け金)は、地震の危険度に応じ、7段階に区分けされている。例えば、熊本は一番安いランクだし、逆に東京や神奈川は最も高いランク、大阪府は3番目に高いランクに位置づけられています」

 現在、保険金額1000万円の場合、熊本県の保険料は木造で1万600円、鉄筋は6500円。これに対し、東京都は木造で3万2600円、鉄筋で2万200円となっている。

■19%アップ

 毎年2万~3万円の保険料を払うのは無駄と考える人も少なくない。この保険料を算出する損害保険料率算出機構に聞くと、

「11年に東日本大震災が発生しましたが、その後、保険料の改定を2回行っています。まず、14年7月に全国平均で15・5%上げた。さらに昨年9月に将来的に全国平均で19%上げることを決めました。ただし、14年に15・5%アップしているのに、再び一度に19%上げるのはつらい。そこで、取り敢えず17年1月に5・1%上げ、残りの13・9%を2回に分けて引き上げることになっています」(広報部)

 東京都についていえば、鉄筋の場合、現行の2万200円が将来的には2万8100円になる。じつに39%もアップすることになるのだ。保険評論家の山野井良民氏が指摘する。

「地震保険の保険金額は、火災保険の30~50%以内の範囲で設定することになっています。つまり、火災保険は元と同じような家を建てることを前提として保険金額を決めます。これに対し、地震保険は最大50%しか補償されないので、前と同じ家を建てるのは無理です。当座の生活資金としては役立つものの、お金持ちにとっては、正直言って必要がないと言えます」

 熊本地震で、更に保険料は上がる可能性大。庶民には頭の痛い問題である。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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