“進学してもキャバクラ”議員が政治資金を飲み代に 収支報告書から発覚

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「親に言われて仕方なく進学しても、女の子はキャバクラに行く」との発言が物議を醸している自民党の赤枝恒雄代議士(72)は、医師の資格も持つ異色の議員。若年層の性教育に熱心で、かつては無償で診療を施す“六本木の赤ひげ先生”として知られた存在だった。が、彼の美食の代金は政治資金で賄われていた――。

 問題とされた発言は、4月12日に都内で行われた「子どもの貧困対策を推進する超党派による議員連盟」の会合で飛び出した。

 政治部記者が指摘する。

「赤枝氏の持論は“義務教育をしっかりやれば、子どもの貧困はなくなる”というもの。その延長線上の発言とはいえ、誤解を招く表現だったことは間違いありません。伝え聞いた谷垣禎一幹事長は“自分の発言がどういう影響を及ぼすのかという点について、あまりにナイーブな発言だ”と怒りを露わにしていました」

 3カ月後には参議院選挙を控えた大切な時期だけに、幹事長の怒りはごもっとも。が、赤枝氏が抱える“爆弾”は先の失言に留まらない。それは、彼が代表を務める「自由民主党東京都衆議院比例区第一支部」と、資金管理団体の「赤枝恒雄後援会」が東京都に提出していた政治資金収支報告書を見れば一目瞭然。平成25年度と26年度分には、「調査研究費」や「研修会費」「組織活動費」との名目で、不可解な飲食店への支出が多数記録されているのだ。

 例えば平成25年の3月29日には「地域包括ケアシステム勉強会」との目的で、銀座の高級クラブ「C」への支払い23万円を計上。5月14日には「周産期救急搬送研究会」として西麻布の高級カラオケラウンジ「S」に、3万2000円を支払っている。いずれも、医療政策に関する調査や研修会という名目だ。

問題の政治資金収支報告書

■「楽しく会議している」

 こうした赤枝氏の“政治活動”の場は、高級寿司店やフレンチ、蕎麦屋など多岐にわたる。いずれも「集団的自衛権について」「双児支援意見交換会」「先進医療の器械の外国との格差について」などの口実で、平成25年度は230万5412円で64回分の代金が政治資金から支払われた。翌26年度は金額は229万3444円とほぼ同額だが、93回と回数は1・5倍に増えている。

 複数の店舗に確認すると、

「だいたい秘書を車に待たせて、お一人で飲んで帰られますよ。店で政治の勉強会? やったことはないなあ」(バーのオーナー)

「議員仲間と来たこともあるけど、あくまでプライベートで飲んでるんだと思うよ」(ライブハウス店長)

「4人で来て山崎のボトルを入れてくれました。うちはカラオケスナックだから、うるさくて難しい話はできないと思うけど」(店主)

 と、いずれも赤枝氏の来店を認めつつ、店での政治活動を否定した。その点を赤枝氏に尋ねると、

「1人でも法案の検討はします。バーのマスターは介護福祉士の免許を取っているし、幅広く色んな意見を聞くことも必要。僕たちは楽しく会議しているから」

 不思議な理屈で釈明するが、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はすっかり呆れ顔だ。

「もっともらしい理由をつけて、無駄な飲み食いを正当化しているように見えます。実際に法案の検討などがない場合は、政治資金規正法の虚偽記載の罪に問われる可能性があります」

 政治評論家の屋山太郎氏はさらに手厳しい。

「酒を飲むなら手前の金で行けってんだ。やっていることはたかりと一緒だよ」

 美食家として知られたフランスの政治家・ブリア=サヴァランは、自著『美味礼賛』で「礼節を知ってこその美食」と説いた。赤枝氏はさぞ、耳が痛かろう。

「ワイド特集 浮世にも活断層」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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