タカを括っていた政府、民進党の嘘ツイート……熊本地震に見た政治家たちのお粗末さ

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 熊本から900キロ離れた東京・永田町も「余震」に見舞われた。前震の段階から野党が「バカつぶやき」で大批判を浴びれば、前代未聞の「不意打ち本震」を受け、与党も俄然、バタバタとし始めたのである。

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 本震で大騒動となっていた4月16日早朝、政府自民党の中には頭を抱える者がいた。甚大な被害の対応に奔走しなければならない焦燥と同時に、「赤っ恥」を掻(か)いてしまったとの悔恨に苛(さいな)まれていたのだ――。

 官邸担当記者が解説する。

「本震前まで、安倍(晋三)総理は熊本で現地視察を行う予定でした。しかし、官邸に残って指揮を執るべきだと、急遽、取り止めになった。もし現地入り後に本震が来ていたら、東日本大震災の際、当時の菅(直人)総理が福島第一原発に直接乗り込んで非難されたように、総理対応のために現場がさらに混乱したとの謗(そし)りを受けかねませんでした」

 確かに、熊本で「総理被災」の事態が発生していたらと想像すると背筋が寒くなるが、兎(と)にも角(かく)にもすんでのところでその危機は回避されたわけだ。だが、安倍総理には熊本入りと別に、

「24日に投開票が行われる北海道5区補選の応援のため、17日に5区内での演説日程が組まれていました。当然、これも中止したんですが……」(同)

 本震発生が16日午前1時25分だったことが「災い」となった。

「当日の北海道の新聞朝刊に、〈未来に責任/明日17日(日)、安倍晋三総裁を迎えて〉と題した演説を告知する広告が載ってしまったんです。さすがに未明では広告を外すことができず、結果的に、政府自民党が今回の地震の被害は広がらないだろうとタカを括(くく)っていたことを露呈する事態になった」(自民党関係者)

 実際、霞が関を束ねる事務方トップの杉田和博官房副長官は本震前、

「政治記者が興味を持っているのは地震の対応ではなく、(体調が芳しくない)私が『倒壊』した時の後釜人事についてでしょ」

 と、周囲に「軽口」を叩いていたほど。地震学者でさえ本震を予測できなかったのだから致し方ないとはいえ、多少の「緩み」が生じていたことは否めまい。

■本震当日に個人攻撃

 他方、野党のお粗末さはそれ以上に際立っていた。15日未明に民進党が公式ツイッターで、

炎上したツイート

〈(東日本大震災の際に)一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張った〉

 と、与党を根拠なく揶揄して炎上。書き込み削除に追い込まれた上に本震当日の午後、野田佳彦元総理が、

「北海道5区内の応援演説で、『安倍さんはおじいちゃん(岸信介元総理)のために政治をやっているのではないか』と個人攻撃。自民党幹部は、総理が震災の対応に追われている真っ只中だというのに中傷にもほどがあると、激怒していました」(政治部デスク)

 政府は今後、民進党による「揺さぶり」に対しても「激甚災害級」の注意を払う必要に迫られそうだ。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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