今回の地震は織り込み済み 「川内原発停止」を叫ぶ民進、共産、福島瑞穂の見識

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 人は、見たいと欲する現実しか目にしないと俗に言う。理想に燃える野党の政治家は、大地震に乗じ、現実離れの「川内原発停止」を唱えるばかり。野党と脱原発、その陳腐な取り合わせの見識を問う。

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社民党の福島瑞穂副党首

 鹿児島県薩摩川内市にある川内原発。2年余に亘る原子力規制委員会による厳格な審査を通過し、昨年8月から1号機が、10月に2号機が再稼働を始めた。国内で唯一運転中のこの原発に対し、民進党や共産党は、

「九州地方の皆さんが大変不安に思っている」

 などと、政府に「川内原発停止」を申し入れ、社民党の福島瑞穂副党首は、

「更なる被害が起きないように原発は止めるべき」

 とツイッターで表明している。では、原子力の専門家はどう答えるか。

「川内だけでなく伊方(愛媛県)も玄海(佐賀県)も、原発付近の活断層については活動を想定して耐震の計算をしている」

 と話すのは、北海道大学大学院の奈良林直教授。

「もちろん、川内原発の近くの断層が全部連動することまで考慮しています。つまり、今回の地震は規制委からすれば織り込み済み。活断層に結び付けて川内原発が危ないというのは、科学的ではありません」

 とし、こう継ぐ。

「規制委により13年7月に施行された新規制基準は、福島のような惨状を二度と起こすまいと世界中の事例を参考に作られています。地震対策のみならず津波や竜巻、地滑りに火山灰なども勘案しているんです」

 東大大学院の岡本孝司教授が後を受けて、

「家屋やビルというものは、岩盤に積もった堆積土の上に建てられる。が、川内原発はその堆積土を掘り返して、岩盤の上に直接建てられている。揺れが遥かに小さくなるからです」

 16日未明に起きた本震の「地震動」は川内原発補助建屋1階で12・6ガルだった。

「川内原発は260ガルで自動停止しますが、2000ガル程度の揺れが来ても耐えられるほど余裕がある設計。ですので今回の場合は、石ころが当たったようなもので安全性への影響は全くありません」

 と続けた岡本氏が、野党の不見識をこう喝破する。

「事実や正しい知見を調べようともしない。思想信条に合わせ、有りもしないことを言って国民の不安を煽っているだけです」

 見たくない現実にも目を向ける日はいつか。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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