「放射能汚染」を恐れ故郷の熊本に戻った井上晴美 熊本地震でパニックに

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 天災の特徴のひとつは、貴賤雅俗の別なく、誰の身にも襲い掛かってくることである。普段、煌(きら)びやかな世界で生きている芸能人も、無論、被災と無縁ではいられない。今回の大地震でも、熊本にゆかりのある女性タレントたちの間に「動揺」が走ったのだった。

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「前震が起きた直後、パニックになる頭で真っ先に考えたのは、車のガソリンを満タンにしておこうということでした」

 こう振り返るのは、阿蘇の麓で暮らしていた女優の井上晴美(41)だ。震災時には、「足」となる車が動かなくなっては話にならないと考えてのことだった。

 アイドル出身の彼女は1999年に「スキンヘッドヌード」を公開するなど、その美貌を活かしてグラビアや映画で活躍。現在は故郷の熊本に引っ越し、夫と3人の子どもとともに悠々自適の生活を送っていたが、

「前震で物が散乱し、とても自宅に住めるような状態ではなくなってしまいました。そのため、近くの友人宅の庭でテントを張り、子どもたちはそこに、大人たちは車中に泊まっていたんです。喉が渇いたと訴える子どもに、水さえも充分に与えられず本当に辛かった……。そんなところに本震が来たんです」(同)

 結果、自宅は全壊、友人宅も瓦礫の山となり、「流浪の民」と化した彼女は、

「一番下の子がまだ4歳ということもあって、避難所に行っても迷惑を掛けるだけだと思い、何とか空いている旅館を見つけて今(17日現在)はそこの7畳ほどの部屋で、家族5人で生活しています。でも、せっかくガソリンを満タンにした自家用車も、瓦礫に阻まれて動かせなくなってしまった。結局、大通りに面していて瓦礫の影響が少なかった知り合いの家の車を借り、普段だったら30分の道のりを、3、4時間かけてどうにかこの旅館に辿り着きました」

 ちなみに、井上は東日本大震災後、「放射能汚染」を怖れて、当時住んでいた長野県から故郷の熊本に戻っている。どこに行っても「憂い」から逃れるのは容易ではない。

■避難所回りをする親族

熊本市を拠点に芸能活動を続けているスザンヌ

 また、「おバカタレント」として一世を風靡したスザンヌ(29)は、目下、地元の熊本市を拠点に芸能活動を続けている。彼女は前震の際、福岡にいたため直接の被災は免れたが、同市内の自宅は足を踏み入れられない状況になった。母親が経営する市内のスナックで働くスザンヌの妹は、

「うちの店もグラスが割れるなどの被害に遭いましたが、ビルが頑丈だったせいか、幸いなことに、大きなダメージは受けていません。避難所では食糧が足りていないようですから、これから回ってきます」

 と言って、深夜のスナックで急ごしらえした20個ほどのお握りを手に避難所へと向かっていった。

 さらに、熊本市が生み出した「歌姫」、歌手の森高千里(47)も、本人は郷里を離れているものの実家が同市内にある。

〈熊本はあまり地震がない地域なので、(中略)両親を含めみんなビックリして、かなり怖かったようです〉

 と、森高自身が公式ホームページに綴(つづ)ったように、彼女の実家は損壊を免れたとはいえ、家具が倒れるなどの被害を受けた。その実家で暮らす彼女の母親は、

「心配した娘からは、『足りない物はないか』『家の様子を写真で送って』などと頻繁に連絡が来ます。実際、娘は私たちにお水を送ってくれました」

 芸能人であっても被災者となり、救援者となる。熊本では今まさに「天災の特徴」が具現化している――。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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