バドミントン桃田 騒動の引き金になった“写真”の存在を伝えた男性「脅すつもりはなかった」

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 日本バドミントン界のエースとして、リオ五輪での金メダルが期待された桃田賢斗(21)。闇カジノ問題で一夜にして代表の座を失った彼は、しかし、釈明会見の1週間以上前から、大きな悩みを抱えていた。それは騒動の引き金となる一本の電話と写真の存在だった――。

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 インド遠征に赴いていた先月30日午後、携帯電話越しに桃田が耳にしたのは、聞き慣れない男の声だった。

「桃田さんですか。私は代理の者です。あなたは違法な会員制の店に通っていましたよね。女性と一緒に写っている写真も見ましたよ。よろしければ一度、お会いして話しませんか」

 終始、丁寧な言葉遣いながら、有無を言わさぬ口調。

 桃田はさぞ、動揺したに違いあるまい。なぜなら、彼には後ろめたい心当たりがあったからだ。

 もうお気付きかもしれないが、違法な会員制の店とは、バドミントン界の新旧スーパースターである桃田賢斗と田児賢一(26)が通い詰めた“闇カジノ”を指している。今月8日に突如、彼らの謝罪会見が行われ、まもなく、日本バドミントン協会から桃田に下されたのは無期限の試合出場停止という重い処分。ほぼ内定していたリオ五輪代表の座から引き摺り下ろされたのはご承知の通りだ。

 では、一方の“女性と写っている写真”とは何のことなのか。

 実は、電話の主が語った写真の一部が流出し、そのうち数枚がここにある。

 まずは2枚の写真をご覧頂きたい。

 黒髪の美女にせがまれ、目を閉じて口づけに応じているのは桃田本人だ。だいぶ酔いが回っているのか、ボトル入りのカクテルを片手に、うっとりとした表情を浮かべている。これだけでも日本のエースの精悍なイメージはガタ落ちなのだが、その隣の写真には、キスどころではない“現場”が収められていた。

うっとりとした表情を浮かべている桃田

 ソファーに座る桃田に、この美女が馬乗りになろうとしているのだろうか。タイトなミニスカートは捲れ上がり、形の良いヒップが丸出しである。そんな彼女を横目に、彼は“お前のセクシー・フェロモンで オレ メロメロ”と、オレンジレンジの『イケナイ太陽』を歌い上げたという。

 桃田の知人によれば、

「これらの写真は一昨年の年末頃、墨田区内のカラオケスナックで撮影されたものだと思います。女性は20代のスナックママで、桃田は足繁くこの店に通ってはベロベロになるまで飲み明かしていました」

■“スマッシュ王子”の面影なし

 これが2014年末だとすれば、94年9月生まれの桃田は20歳になったばかり。年上の美女の色香に翻弄されたとしても致し方あるまい。

 彼女をきつく抱きしめるショットでも、彼が優に100万円を超えるフランク・ミュラーの高級時計をつけていることが分かる。指に光るクロムハーツのリングも10万円は下らない。写真の姿はどう見ても、酒と女にだらしないお調子者のボンボンである。少なくとも、女性ファンから“スマッシュ王子”と呼ばれる、イケメン選手の面影は微塵も窺えない。

“スマッシュ王子”の面影もない

 泥酔し切って、撮影に気付く様子すらない彼が、この晩の出来事を正確に憶えていたかは怪しいところだ。とはいえ、先の電話が否応なく桃田の記憶を呼び起こしたことに疑いはない。

 もし、あの写真が出回ってしまったら――。

 彼の脳裏を過(よぎ)ったのは美人局という言葉か、それとも、電話の主が暗に写真の買い取りを求めていると受け取っただろうか。世界と渡り合うトップアスリートとはいえ、まだ21歳の青年が頭を抱えたことは想像に難くない。

 桃田と田児が釈明会見で涙を流したのは今月8日。つまり、それより1週間以上も前に、桃田は過去の闇カジノ賭博と、ハレンチ写真の存在を何者かに突き付けられていたことになる。

■「脅すつもりなんて全くない」

 桃田を驚かせた電話の主は、一体誰だったのか。件の写真の出所について取材を進めると、ある映像ディレクターに行き当たった。闇人脈にも通じるこの人物に、入手した写真を示したところ、

「確かに、私が目にした写真と同じですが……」

 この写真を使って桃田を脅迫したのかと質すと、

「とんでもない! 恐喝や脅迫なんて考えたこともありませんよ。そもそもの発端は、昨年末に“田児選手が錦糸町の闇カジノで遊んでいた”という情報を知人のフリーライターが掴んできたことです。私は取材に協力するつもりで事情に明るそうな関係者を当たってみました。すると、田児選手と一緒に桃田選手がカジノに出入りしていたことに加え、界隈の飲食店で乱痴気騒ぎしている写真も目にしたんです」

 だが、桃田らが通っていた闇カジノは警察の摘発を受け、すでに閉店していた。

「そのせいで、闇カジノへの出入りは裏が取れなかった。写真にしてもカジノで撮られたものではありませんしね。知人のライターは、記事にするには本人から言質を取るしかない、と。ただ、最初からライターが連絡すると、記事化を恐れて逃げられる可能性がある。そこで、私が桃田選手に電話を掛けたんです」(同)

 とはいえ、記者でもなく、面識もない人物から、電話口でそんな内容を告げられれば、恐怖を覚えても仕方がなかろう。やはり写真を買い取らせるつもりだったのではないか。

「脅すつもりなんて全くないですよ。金銭を要求したこともありません。自分の番号を通知して電話をかけていますし、会って事実関係を確認したいと持ち掛けただけ。弁護士と同席でも構わないと伝えています。ただ、その日のうちに、私の電話を巡って警察が動いているらしいという情報を耳にしたんです。それに驚いて、桃田選手には“残念です。出版社から連絡がいくと思います”というショートメールを送りました。もう私から連絡はしないと伝えたつもりでした」(同)

 結果的に警察を巻き込む騒ぎとなったことで、マスコミがこの情報を嗅ぎ付け、事態が明るみに出た。

■“先のことが見えません…”

 この件についてNTT東日本に尋ねると、

「写真に写っているのは桃田に間違いありません。本人は今回の一件に関する調査の中で“代理人”と名乗る人物から電話を受けたことを認めています。今月8日の会見の前に把握していたものの、引き続き調査が必要と考えて公表は控えていました」(広報室)

 同社は11日、協会に続いて懲戒処分を発表。田児は解雇、桃田は出勤停止30日という内容だった。

 小学校時代の恩師である、香川バドミントンスクールの吉川和孝代表は、この処分が出る前夜に桃田と電話で話したという。

「賢斗には、外に出たくなければダンベルを買って自宅で鍛えなさい、試合に出られるようになって、お前の引き締まった身体を見れば周囲の印象も変わるから、と伝えました。ただ、賢斗は絞り出すような声で“それは分かっています。でも、気持ちがついて行きません。いまは先のことが全然、見えないんです……”と答えるのがやっとでした」

 身から出た錆は、金メダルの夢まで錆びつかせてしまったのだ。

「特集 バドミントン『エース』が『闇カジノ』謝罪の裏の脅迫!?『桃田選手』が撮られた『美人ママ』とキス以上の現場写真」より

週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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