「巨人」は20ゲーム差の最下位からペナントレースを始めろの声

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 気が付けば桜の花が満開になり、東京ドームは今日も満杯である。開幕ダッシュに成功した巨人軍にしてみれば、野球賭博事件で受けた処分は最小限のダメージで済んだわけだ。中継ぎ投手を1年の“謹慎”で済ませ、金満球団が払う制裁金はなぜか500万円。「ペナルティになっていない」という声もむべなるかな。

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 3月22日にNPB(日本野球機構)が出した調査結果は“身内”のスポーツ新聞でさえ「大甘」と批判している。

 在京スポーツ紙のデスクが言う。

「高木京介投手は1年間の失格処分となりましたが、昨年10月に露見した3選手と賭博に手を染めていた点では同じです。むしろ、発覚した後も隠し通していたのは、より悪質とも言える。なのに3選手は無期限失格、高木だけが1年で済んだのは不可解です」

 このことを、NPBを通じてコミッショナーの熊崎勝彦氏にぶつけると、

「それはね、野球協約(180条)にある処分が『1年』か『無期』しかないわけです。どちらかを選ばなくてはいけない中で熟慮を重ねたということですよ。(高木投手は)調査に対して真摯な姿勢で具体的に供述した。そのことも付け加えて総合的に判断したわけです」

 だが、別の巨人軍担当記者が言う。

「高木が1年の処分で済んだのは、将来有望だからと言われています。プロ1年目から1軍の救援投手として活躍し、昨シーズンは117試合負けなしの日本記録を更新している。今後は先発も狙えるし、抑えの澤村拓一投手を超える逸材です。プロ野球界における巨人軍の発言力を考えればNPBが配慮をしてもおかしくありません」

 もっとも、熊崎コミッショナーは、

「巨人の介入なんてあり得ません! 調査委員会は独立した機関なんだから取引もない。これはきっぱり言っておきます」

 と一蹴する。だが、その巨人軍に対する制裁金は、わずか500万円である。

■イタリア・セリエAでは

 野球解説者の広岡達朗氏が言うのだ。

「この程度の金額は巨人軍にとって微々たるもの。何のペナルティにもなっていません。NPBは、世間に “一応、罰しましたよ”という態度を見せただけ。他球団に示しをつけるためにも億単位の罰金を科すぐらいでないとダメです」

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は、

「海外ではもっと厳しい例があります。06年にイタリア・セリエAで発覚した“カルチョ・スキャンダル”では八百長が明らかになったユヴェントスをセリエAからBに降格したうえで勝ち点マイナス9からスタート、フィオレンティーナは勝ち点マイナス15からのスタートという処分が下されました。二度と賭博事件を起こさせないと自覚させるためには、シーズンの勝敗を左右し、興行収入にも影響が出るような処分が必要です。巨人にもゲーム差20の最下位からペナントレースをスタートさせるといったペナルティを科すべきです」

 何よりプロ野球ファンの視線はシビアなことをお忘れなく。

「ワイド特集 三日見ぬ間の桜かな」より

週刊新潮 2016年4月7日号掲載

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