“日本死ね”で名を売った山尾志桜里民進党政調会長の不自然なカネの動き

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 民主と維新が合流して誕生した民進党。政調会長に大抜擢されたのは山尾志桜里(しおり)代議士(41)である。「日本死ね!!!」と物騒なタイトルのブログを手に安倍首相へ詰め寄った国会の最注目株。そのカネに注目すると、奇妙な実態が浮かび上がるのだった。

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3月27日に開かれた民進党結党大会

 民主党と維新の党。年明けから両党は、くっつくのくっつかないのと喧しいやりとりを続けてきた。「民進党結党大会」という結婚披露宴を開いたのは、去る3月27日のことである。

 言うまでもなく、すべり出しというものは大切なはずだが、

「覚悟を持って新進党……、民進党をスタートさせましょう。失礼しました」

 自らの立ち位置を見失ったか。のっけから挨拶でしくじった新党代表の岡田克也氏は、その後の執行部人事を読み上げる際にもチョンボ。

「失礼しました。一番大事な人を忘れておりました」

 そんな風に、きまり悪そうにごまかすのがやっとだった。

 この忘れられた人物こそ、山尾志桜里代議士に他ならない。2月半ばに登場した「保育園落ちた日本死ね!!!」なる匿名ブログ。これを待機児童問題として今国会で取り上げ、安倍首相に質した女史は、論功行賞として“幕閣入り”を果たしたのだった。もっとも、旧民主のさる幹部が、

「山尾の人事はあくまでも7月の参院選を見据えた短期のもの。実際、最高幹部会へ常に出席するわけじゃなく、必要なときに呼べばいいってところだよ」

 そう言うのだから、名前の読み飛ばしもさもありなん。ともあれ、日の当たる場所へ突如飛躍した新政調会長の来し方をざっと振り返っておきたい。

■ヤメ検

“日本死ね”で名を売った山尾志桜里代議士(41)

 少女時代にミュージカル『アニー』の主役として活動し、東京学芸大附属高を経て東大法学部へ。在学中から法曹界を志し、司法試験に2002年、都合7度目で合格した。2年後に検事として任官し、東京地検、千葉地検、そして名古屋地検岡崎支部に勤務。そんな彼女に目をつけたのが、当時は民主党代表だった小沢一郎氏だ。

「前任の候補は、覚醒剤取締法違反罪で起訴されて有罪が確定した男。そのイメージを払拭するためには、“清廉な、できれば女がいい”と小沢さんは言っていました」(地元政界関係者)

 このラブコールに、

「検事として犯罪のない世の中へ変えることに限界を感じ、政治の世界を志した」

 と応えた山尾氏は3年強の検事生活に別れを告げる。09年8月の政権交代選挙で愛知7区から出馬し、初当選。3年後の総選挙では落選するも、14年総選挙で2期目の当選を飾った。目下、同い年の夫、そして5歳の男の子と暮らしている。

 ヤメ検という経歴、民意を汲み取る嗅覚、才走る行動力……さまざまな能力に恵まれた山尾女史のカネの問題に光を当てることにしよう。

少女時代にミュージカル『アニー』の主役を演じた山尾志桜里代議士

■476万円の差額

 彼女の資金管理団体を「桜友会」という。ここの政治資金収支報告書の12年分をひもとくと、もともと山尾氏本人から団体への寄附金として、計1144万円の記載がある。それが今年の1月14日になって、「山尾氏からの寄附金920万円、借入金224万円」と訂正されている。

「政治資金規正法では、個人から政治団体への寄附の上限が1000万円と定められている。これに気付いて直したのでしょう」

 とは政治部記者。14日は、衆院予算委員会で代議士が質問に立った翌日のことだった。

 続いても寄附の話である。同じく12年、桜友会は彼女自身が長を務める「民主党愛知県第7区総支部」に対して、423万円の寄附をした。にもかかわらず、第7区総支部の方は「899万円を受け取った」旨の記載をしていたのだ。

 差額476万円。そのうえ、桜友会には翌年への繰越額、すなわち残高が約273万円しかない。したがって、この差額分を補えないことになる。

 さらに詳しく、入出金を日取りと共に追ってみよう。

【桜友会の支出】
2月29日 100万円
3月30日 100万円
4月16日 100万円
5月25日 23万円
7月17日 100万円

【第7区総支部の収入】
1月26日 100万円
2月29日 100万円
3月30日 100万円
4月16日 100万円
4月24日 100万円
5月25日 43万円
7月11日 100万円
7月17日 100万円
7月24日 56万円
12月7日 100万円

 ご覧の通り、支出した額と合わない、あるいは支出していない日に収入として記録されているのがわかる。

■不自然な不一致

 こうした点について、元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏が、

「政治資金規正法の『不記載』あるいは『虚偽記載』に該当し、違法となる可能性があります。ただし、焦点となるのは、外形的な問題というよりはむしろ、会計責任者が故意に行なったか否かというものです」

 としたうえで、こう筋読みする。

「本件のように、両団体の責任者が同一人物であるのに、同じ日付の寄附の金額すら異なるというのは、普通は起こり得ないことです。つまり、“不自然な不一致”があるのは確かなのだから、山尾議員は調査をして国民に説明する義務があります」

 仮に同法違反罪で担当者が起訴された場合、

「5年以下の禁錮または100万円以下の罰金に問われることとなる。また、任命・監督責任を怠ったと見なされれば、政治家本人も50万円以下の罰金に処されることになります」(神戸学院大の上脇博之教授)

 山尾事務所に聞くと、

「3月22日に訂正済み」

 としか答えない。実際には、差額476万円分を山尾氏個人からの寄附として付け替えていた。

「特集 『日本死ね』で名を売った弱者の味方! 民進党『政調会長』に大抜擢! 500万円の架空資金!?『山尾志桜里』代議士の奇妙な政治資金」より

週刊新潮 2016年4月7日号掲載

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