コンビニもミスドも勝てない「ドーナツ戦争」

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“ミスド”の愛称で知られる「ミスタードーナツ」が、大阪府箕面市内で1号店をオープンして今年で45年を迎える。当時は物珍しかったドーナツ専門店も、10年前に米国の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」が日本に進出し、昨年はコンビニ各社が売り出しに力を入れ始めた。で、激化する“ドーナツ戦争”を制するのは誰か。

 ミスドの親会社で、ハウスクリーニング最大手の「ダスキン」は3月24日、中期経営計画の変更を発表し、2年後の売上高目標1850億円を1730億円へと下方修正した。経済誌の食品担当記者がこう指摘する。

「ミスドは大苦戦している。価格設定の変更や、全国1303の店舗改装を進めていく予定だが、見通しは必ずしも明るくない。そこで売上高目標の達成は困難と判断したのでしょう」

 ダスキンの今年度第3四半期決算を見ると、ドーナツが主力のフード部門の売上げは前年同期比10・4%減の329億8800万円。ダスキンは、ミスドのライバル店増加やコンビニの本格参戦を“苦戦”の理由に挙げている。

 だが、この10年で64店舗にまで増加したクリスピー・クリーム・ドーナツも一時の勢いはなく、昨年末から今年3月までに17店を閉鎖。また、レジ横にドーナツを置いていたコンビニも、当初ほど顧客の支持を得られず戦略の練り直しを余儀なくされている。食品専門のアナリストが分析するには、

「1200億円弱だったドーナツ市場は、この2年で約1600億円まで膨れ上がったが、すでに飽和状態。今後、市場は縮小に転じるはずです」

 勝者なしのドーナツ戦争。

“甘い”時間は長くは続かないのだ。

週刊新潮 2016年4月7日号掲載

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