「最高幹部」連続死でもなぜ崩れない「イスラム国」

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 過激派組織「イスラム国」の軍司令官死亡か――500万ドル(約5億6000万円)の賞金首で、シリアで部隊を展開していたジョージア出身の“戦争大臣”アブウマル・シシャニが、米軍の空爆で死亡したとの情報が8日、流れた。

「バグダディは“バグダッド人”を指しますが、シシャニは“チェチェン人”のこと。本名ではなくゲリラ名です。最強部隊であるチェチェン人部隊の指揮官で、非アラブ人で唯一、最高指導部入りした人物です」

 とはイスラム過激派を長年取材してきた軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏。

 2014年6月のイスラム国樹立時、最高指導部「シューラー評議会」のメンバーは18名を数えた。同評議会は指導者である“カリフ”を選出するイスラム国の心臓部だ。

「米軍は徹底した通信傍受により幹部の居場所を特定、狙い撃ちしています。最高指導者バグダディ師も空爆による死亡説が囁かれていますし、後継者とされたアブ・アラ・アフリも空爆で生死不明に。執行部を統括していた元イラク軍人のアブ・ムスリム・トゥルクマーニとアブ・アリ・アンバリの2人も、前者は死亡し、後者は生死不明です」(同)

“財務大臣”や軍のナンバー2も死亡したとされ、指導部は半減したとも伝わる。

「ただ、資金もまだ豊富な現在、代わりはいくらもいるでしょう。また、新幹部が就任していたとしても、探知されぬよう、名前すら明らかにしません」(同)

 昨年末、イラク中部の州都ラマディを奪還され、劣勢に追い込まれつつあるかに見えるイスラム国だが、

「その一方で、イラク、シリアでは連日のようにテロを起こしています。欧米など国外でも準備さえ整えばやるでしょう」(同)

 世界に広がった惨劇の恐怖は当分消えそうにもない。

週刊新潮 2016年3月24日号掲載

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