金シャチが笑ってらぁ 沸騰「河村たかし」劇場

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 民謡『伊勢音頭』には、〈尾張名古屋は城でもつ〉との一節がある。街の繁栄は城で保(も)つとの意味だが、事実、名古屋は政令市として国内3位の人口229万を誇る。今月には伊勢丹が入った地上34階の大名古屋ビルヂングが開業し、来春には地上46階のJRゲートタワーもオープン予定だ。

 で、“景気のイイ話”をもうひとつ。3月8日、市議会で議員報酬を増額する特例条例が可決されたのである。

「4月から、年800万円だった議員報酬が1455万円に引き上げられます。提案した自民、民主、公明の3会派の言い分は、政令市の大阪や人口150万人規模の神戸、福岡と同水準の報酬でないのはおかしいというもの。河村たかし市長(67)は、採決で議員が起立した際、議長の机をバンバン叩いてたしなめられていました」(市政記者)

 そもそも、議員報酬は市長率いる地域政党「減税日本」の提案で、引き下げられた経緯があった。

「河村市長は、市長給与と議員報酬半減を公約に掲げて2009年に当選しました。当初、市議たちが猛反発しましたが、市長はリコールを仕掛け議会を解散。5年前の市会選挙で減税日本が大勝し、報酬額半減の条例が実行されたのです」(同)

 大入りだった河村劇場に陰りが見えたのは、昨年春の統一地方選。減税日本は28から12へと議席を減らしたのだ。

 その劣勢につけこまれた議員報酬フッカツだった。

「子飼い議員の不祥事が重なった上に、3期目の市長は大した成果もない。目立つのは名古屋城天守閣を木造で復元したいと大風呂敷を広げたコトくらい」

 とは、市会関係者。河村劇場第2幕は、カネのかかる舞台装置を目玉にしたのだ。

「復元予算は最大400億円ですが、昨年秋に3会派が協力姿勢を見せた際、市長は報酬増額について明確に反対と言わなかった。市議側は市長が内諾したと思っていたようです」(同)

 追い込まれた市長は再びリコールも辞さないと怒り心頭だが、金のシャチホコも笑うしかない泥仕合が続きそうなのだ。

週刊新潮 2016年3月24日号掲載

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