北海道新幹線開業で乱れ咲く「縦断ツアー」満足指数

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 北から南まで新幹線が繋がれば、1日で日本を縦断できる――と聞いても、実際に試す酔狂な人はいないだろう。いや、いるんです。

 3月26日開業の北海道新幹線。これに乗じて阪急交通社が売り出した〈北海道から1日で鹿児島へ 新幹線で日本大縦断 3日間〉の反響が上々なんだとか。

「1回の定員は35名ですが、満員となった日もあって追加日程を用意しました」

 と、広報担当者は胸を張るが、旅程はハードだ。

 初日は、北海道新幹線の新函館北斗駅を午前6時台に出発。青函トンネルを抜けて一気に東京へ向かい、東海道、山陽、九州新幹線を乗り継ぐ。目的地の鹿児島中央駅には午後6時半頃に到着するが、移動距離は約2345キロ、12時間の旅路である。初日は鹿児島市内泊。2日目は市内観光の後、指宿(いぶすき)の砂むし温泉に宿泊。最終日は鹿児島から空路で北海道へ戻る2泊3日で、お値段は12万5000円から。東京発のツアーでは、9つの新幹線すべてに乗車し名湯を訪ねる“列島縦断5日間”が、15万円から用意されている。

 乗ることが目的の“鉄分”多めな人たちに、高いか安いかは無粋な質問だろうが、

「個人で同じ行程を旅行すると、交通費だけでこのくらいはかかります。当プランは宿泊代や食費も込みでお得です」(先の広報担当者)

 より“鉄分”濃厚なこんな企画もある。クラブツーリズムの〈祝・北海道新幹線開通! 北海道から九州まで 日本縦断鉄道の旅8日間〉では、日本最北端の宗谷本線稚内駅からJR最南端の指宿枕崎線西大山駅まで、北海道新幹線を含む特急など21の列車を乗り継ぐ徹底ぶり。お値段は25万円だが、申込みは夫婦に限られるため、お一人様の鉄ちゃんはご乗車できません。

 で、先立つものがないとお嘆きの方は、サントリーの缶コーヒーBOSSのキャンペーンで“鉄分”補給! 抽選で新幹線を使った150万円分の旅行と、50万円のお小遣いが当たる大盤振る舞いもある。だが、いくら好事家でも、長距離移動は骨が折れるのでは……。

「ツアーでは添乗員が同行して皆様の体調に気を遣いますし、夜は温泉で疲れを癒していただけます」(同)

 ご旅行中は、“鉄分”の過剰摂取にご注意ください。

週刊新潮 2016年3月10日号掲載

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