ロート製薬“副業OK”は広がるか

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 いくら憲法で職業選択の自由が謳われていても、就業規則で副業を禁じる企業は少なくない。万が一、アルバイトが発覚した場合はクビになることさえある。目薬で業界1位のロート製薬は、そんな“常識”に挑もうとしている。

 東証1部上場のロート製薬は2月24日、勤続3年以上で、国内に勤務する正社員約1500人を対象に4月から“副業”を許可すると発表した。原則、他社での勤務は就業時間後や土日、祝日に限定するという。同社の広報・CSV推進部に聞くと、

「一昨年、再生医療などの事業を立ち上げました。今後、新規事業を展開していくためには会社のみならず、社員にも多様性を持ってもらいたい。他社で働いて得た知識や経験を会社に還元して欲しいと考えて、“副業”を解禁しました」

 当然、何をしてもいいというわけではない。

「やはり、風俗業など“夜の仕事”はNG。コンビニやドラッグストアは、お客様と接する機会が多いので、直接顧客ニーズを知る絶好のチャンスですからOKです」(同)

 目下、社員の“副業”は社歴の浅いIT企業などで認められているが、1部上場企業では神主などの特殊なケースを除けば原則禁止されている。今後、副業解禁の動きは拡大するのか。第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏が分析するには、

「ロート製薬に追随する上場企業は増えるはずです。今後、企業は給与を大幅に上げられませんから、優秀な社員ほど不満を持つ。副業を解禁すれば企業は人件費を抑えられて、社員は所得が増える“ウィンウィン”の関係を構築できます」

 サラリーマンには朗報。だが、解禁されても、本業に支障なきように。

週刊新潮 2016年3月10日号掲載

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