シャープ救済「鴻海」に暴動や自殺多発のイヤな過去

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 シャープの救済を巡り、“半官半民”の産業革新機構が、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業有限公司に敗れたそうだ。決め手は莫大な支援額のみならず、鴻海の郭台銘会長(65)が現経営陣の交代を求めず、社員の雇用を維持すると明言したからだ。が、この言葉を額面通り信じて良いものか。

 目下のところ、鴻海はシャープにとっては“救世主”だが、中国では別の顔を持っているのだという。

「中国の工場はどこも劣悪な環境で知られていますが、鴻海の工場もその例外ではありません」

 こう苦笑するのは、中国事情に詳しいジャーナリストだ。

「中国にある鴻海の関連会社『富士康科技』の深セン工場で6年前、僅か11カ月間に14人の工員が飛び降り自殺を図り10人が死亡、4人が重傷を負った。さすがに、中国政府も看過できず、工場の立ち入り検査に踏み切ったほどです」

 自殺の原因は、低賃金による過酷な長時間労働で、各地で暴動も起きたという。

「富士康の月給は、日本円で約1万6000円。他の工場の平均が約10万円ですから、いかに安いかがわかる。にもかかわらず、休憩なしの12時間労働など当たり前。結果、その後も、工場での自殺者が相次ぎ、昨年8月にも河南省の工場で2人の工員が自殺しています」(同)

 経済誌の家電担当記者が指摘するには、

「郭会長は“40歳以下の若い社員の雇用は守る”と付け加えています。労働環境が中国並みになるとは思いませんが、特に、40代以上の社員の給与が減らされるのは確実でしょう」

 シャープの平均年収は、43・3歳で728万円。40代以上の社員は、真剣に“第2の人生”を考え始めた方がよさそうだ。

週刊新潮 2016年2月25日号掲載

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