日教組の魔の手が子供たちに「特定秘密保護法反対のハガキを書くかい?」 安保法案の強行採決の映像を見せる

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 反原発をめざし、安倍政権を批判し、デモの重要性を説き、北方領土問題でロシアの主張に耳を傾ける――。むろん、個人が主張するなら構わないが、学校の教室で訴えるとしたら話は別だ。報告された授業の数々は、教育に名を借りた、亡国の洗脳の場だった。

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日教組による教育研究全国集会(教研集会)

 かつて階級闘争イデオロギーのもと、政治活動や反日教育を堂々と推し進めてきた日本教職員組合、略して日教組。だが、そのトップの加藤良輔委員長は2月5日朝、この日から3日間にわたり、盛岡市を中心に岩手県で開催された第65次教育研究全国集会(教研集会)の主催者あいさつで、こう語っていた。

「実践の中で私たちは“政治的中立”という要請と向き合わねばなりません。(中略)社会科の教員が、授業の中で取り上げた政治的課題について、自らの考えを述べることが直ちに“政治的中立”に反するとは思いません。もちろん、自分の考えを押しつけることは厳に慎まなければなりません。しかし様々ある議論の中で、自分の考えがどうなのかを表明することは、逆に意味あることだと思います。(中略)私たちは、自分の考えを発言しながらも、子どもたち自身が考えを深めていく授業をこそ追求すべきだと思うのです」

 民主党政権下では、いわば身内としての責任も経験したいま、さすがに「政治的中立」を守らなければならない、という意識が芽生えたということだろうか。


 ちなみに、教研集会とは日教組の教員たちが年1回、全国から集まって日ごろの教育実践を発表し、議論する場だ。毎回、右翼の街宣車に囲まれるのがお決まりで、今回も県警の警察官や機動隊が立ちはだかる会場の入口に街宣車が近づいては、「日教組、粉砕」などと演説を繰り返した。

右翼の街宣車と警備

 それはともかく、教室での政治的中立は、「向き合わねば」と大仰に構えるまでもない、至極当然のことだ。教育基本法14条も、

〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない〉

 と定めているが、公教育の場でわが子が、特定の思想に洗脳されたりしたらたまったものではない、というのは、法律以前の常識の問題である。

■“政府は私たちを考えんようにさせ……”

「平和教育」の分科会

 とはいえ、法などお構いなしに政治活動に邁進した過去をすっかり切り捨てるのは、覚醒剤の常用者がクスリを断ちがたいように困難なことなのか。加藤委員長の言葉も、自らを正論で律しつつ御目こぼしを願っているように聞こえる。今回、25の分科会に分かれておよそ690の報告がなされたが、それらの中にも、御目こぼしを期待し、少しは政治性を帯びた授業や活動があるということだろうか。

 結論を先に言えば、さすがの加藤委員長も「厳に慎まなければ」と語った「自分の考えを押しつける」授業が、枚挙にいとまがないありさまだったのである。

 たとえば「平和教育」の分科会で、広島県三原市の中学の女性教諭は、こう熱弁をふるった。

「戦争は起こしているヤツがいるという構造を、子どもたちに見抜かせないといけない。それをわからなくするための特定秘密保護法案であるとか。政府は私たちを考えんようにさせ、力でガーッと抑えてくる。戦前をひしひしと感じ、先行して広島がやられているという感じがします」

 真っ先に広島が政府の統制を受けている、というのは妄想以外のなにものでもなさそうだが、教諭が続けてこうのたもうたのだ。

「私は生徒に“特定秘密保護法案に反対のハガキを私は政府に宛てて書きます。君たちも書くかい?”と言いました」

 もはや「自分の考えを述べる」に留まっていないのは明らかである。同じ「平和教育」の分科会では、長崎県の中学校の男性教諭も、こう述べていた。

「平和・人権学習の後、平和な世の中になればいいなと思う、などの感想がよくありますが、子どもたちが戦争や人権課題を他人事ととらえているのではないかと気になり、その後、自分に何ができるのかと考えて、実践的な行動にまで結びつけていきたいと思いました。社会に目を向けると安保法案が強行採決されたり、憲法改正の動きが活発になってきたりしました」

 安保法案や憲法改正について、考えさせるのではなく、端から反対させたいらしい。長野県の中学校の男性教諭が、

「生徒に安保法案の強行採決の様子を映像で見せ、感想を聞いた。この法案について安倍首相が説明している映像を見せた。国の状況が急速に変化していることを、生徒たちなりに感じているようだった」

 と報告したのも同じ分科会でのことだ。

■デモについて前向きに

 また「社会科教育」の分科会では、鳥取県の工業高校の男性教諭が、こんな報告をしていた。

「2015年は、国会で安保法制が取りざたされ、国民的議論が巻き起こった年で、国会前にかぎらず、日本全国で安保法制に対する意思表明がデモや集会によって展開された」

 で、教諭自身も国会前の座り込みに参加し、これを教材化できないかと思い立ち、世界史Aの授業で、国内外の市民運動の歴史的展開を説明しながら、

「デモをすることで政治は変わると思うか、などと生徒との対話の中で考察を深めていった」

 その結果、当初は、

「嘲笑混じりに見ていた子どもの姿もあった」

 けれども、次第に、

「デモに対する見方も、当初に比べて前向きなとらえ方に変わっていった」

 と胸を張ったのである。

 東京都国立市の元教育長で、教育評論家の石井昌浩氏が言う。

「安倍政権を讃える必要はありませんが、批判だけするのは論外。平和教育も多角的に考えさせるべきもので、安保法案を戦争法案と決めつけて政権批判を展開するなど、偏った意見の最たるものです。強行採決の映像を見せて安保法案に疑問を抱かせ、デモについて前向きに考えさせるなんて、指導ではなく誘導。生徒たちの頭の中は、大人と違ってまっさらで、教師を盲信してしまう危険があることを強く自覚すべきです」

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 シリーズ〈教研集会に見る末恐ろしい「日教組」亡国の洗脳(1)〉より。(2)へつづく(2月23日(火)掲載予定)。

「特集 生徒に反原発を強制! 反安倍総理を呼び掛け! 教研集会に見る末恐ろしい『日教組』亡国の洗脳」より

週刊新潮 2016年2月18日号掲載

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