走攻守三拍子の「オコエ瑠偉」の口から日中英の三カ国語

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“規格外”なのは、プレーだけではなさそうだ。甲子園を沸かせ、楽天にドラフト1位で入団した関東一高のオコエ瑠偉(18)。走攻守の三拍子揃った新人として期待を背負う本人は、一足早く日中英の「トリリンガル」を達成していた――。

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高校時代のオコエ瑠偉選手

 1日から沖縄・久米島でスタートした楽天の1軍キャンプ。オコエは球団史上、高卒野手として初めて参加を認められた。

「初日は雨天のため室内での打撃練習となり、オコエは37スイングして安打性の当たりを9本飛ばしていました。それでも初のキャンプを『ガチガチだった』と振り返り、『それを押しのけるくらいの気合でいきたい』と意気込んでいました」(スポーツ紙担当記者)

 7日には、いよいよ実戦デビューとなる紅白戦が控えているのだが、そんな彼の“驚くべき横顔”が明らかになった。何と、日本語のほか、英語と中国語にも堪能だというのだ。

「ナイジェリア人の父親を持っていることで、英語での簡単なコミュニケーションは問題なくできます。球団のコンディショニング部アドバイザーである米国人とも、英語で挨拶しているのです」(同)

 また、中国語についても、

「1月から住み始めた仙台市の『泉犬鷲寮』の仲間である台湾出身の宋家豪投手とは、中国語でやり取りしています。オコエの祖母の妹が台湾人と結婚していて、昨年末、現地に1週間ほど滞在した際に言葉を覚えたというのです」(同)

 とのことで、実際に先日は、新人合同自主トレで宋と談笑しながら、

〈「おつかれさま」は「辛苦了(シンクーラ)」。「なんでもない」は「没事(メイシー)」というんですよ〉

 などと、取材記者の前でうんちくを披瀝していたのだった。

 スポーツジャーナリストの染谷恵二氏は、

「お父さんの母国語だし、妹でバスケ選手の桃仁花(もにか)さんと話しているのを見たことがありますから、英語が堪能なのは確かでしょう」

 としつつも、

「中国語については、実際はどうなのか……。いずれにせよ、彼はサービス精神が旺盛で、自分がいかに振る舞えば話題になるかという勘に長けている。先月催された12球団新人研修会でも、あまりに堂々と受け答えするので、『話し方講座』の講師をつとめたベテランアナウンサーも感心していたくらい。それもまた“大物の片鱗”でしょうか」

■「しんどいです」

 もっとも、そこはプロの世界。実力が伴わねば通らない。中学生時代にオコエを指導した「東村山シニア」の渡辺弘毅監督によれば、

「寮に入ってから1週間ほどして『頑張ってるか?』とLINEで送ったのですが、数日間、何の返信もなかった。で、ようやく『あまりに練習がきつくて携帯を見られませんでした。しんどいです』と戻って来た。ああ、やっぱり大変なんだなと思いました」

 その監督率いるシニアの練習に、オコエが姿を見せたのはドラフト直後、昨年10月下旬のことだった。

「『背番号のことで相談がある』という。『0と3と9から選んでいいと言われました』とのことで、私が『0はピンとこない。3は長嶋さんのイメージが強いし、トリプルスリーを目指すのなら9がいいんじゃないか』と答えると『わかりました。考えてみます』と言って帰って行った。すると、その通りになりました」

“国際派ルーキー”は、義理堅さも併せ持つようなのだ。

「ワイド特集 崖っぷちの歩き方」より

週刊新潮 2016年2月11日号掲載

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