ローマ教皇庁「福者」認定で甦る「高山右近」の応援団

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 没後400年を経て高山右近の名が世界に轟いた。

 一昨年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』では、イケメン俳優の生田斗真が好演したキリシタン大名が、1月22日、バチカンのローマ法王から「福者」の承認を得たのである。カトリックで崇敬の対象となる「聖人」に次ぐ地位で、あのマザー・テレサもその1人だ。

「福者は殉教者か病気を回復させる奇跡を起こした者という条件がありますが、個人としては日本人で初の快挙です」(社会部記者)

 戦国時代に摂津国で生まれた右近は、少年時代に洗礼を受けて織田信長、豊臣秀吉に仕えた。秀吉のバテレン追放令で所領と財産を失っても信仰を捨てず、最後は徳川家康の禁教令で国外追放となりフィリピン・マニラで客死。63歳だった。

 カトリック大阪教区で推進委員会委員長を務めた川邨裕明神父(57)の話。

「右近を福者にする運動は、17世紀から日本で始まったものの、鎖国で下火になっていました。認定にはオリンピック招致や世界遺産登録のように、如何にローマへ熱意を示すかが重要です。これまで大阪の教会を中心に、右近の命日2月3日にはミサを行い祈りを続けてきた。その取り組みなどを写真に撮って申請書に添えて提出しました」

 生誕の地である大阪府豊能(とよの)町では、信者以外の“応援団”の存在もあった。

「昨年の没後400年に合わせて全国から集まった寄付を使い、世界で唯一の右近の夫婦像を建立しました。バチカンから認定作業に携わる司教さんらが来られた際も歓迎セレモニーを開き、町を挙げておもてなしをしたんです」(豊能町役場)

 次なる目標は、聖母マリアも列する「聖人」に認定されることだという。大阪の山里が、世界から“聖地”と呼ばれる日は近い?

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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