「ワタミ」に救世主で生き延びる創業者「渡邉美樹」

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 ブラック企業に救いの手を差し伸べる“救世主”が現れた。大手居酒屋チェーン「ワタミ」は1月22日、コメ卸最大手で、回転寿司チェーンも展開する「神明ホールディング」への株式売却を発表したのである。果たして、「ワタミ」創業者の渡邉美樹氏(56)は何を思う。

「ワタミ」創業者の渡邉美樹氏

 ワタミが神明へ売却したのは、保有する自社株約10%のうちの約4%。金額にすると、約14億円に上る。実は、神明は“救世主”と報じられているが、ワタミは手堅い企業と組んでマイナスイメージを薄めるのが狙いだという。ワタミの元社員によれば、

「経営の第一線から身を引いたとはいえ、社内で渡邉さんの影響力は絶大。“ワタミは、自分の子供同然”と公言してきた彼にとって、自社株売却を知らされた時には忸怩たる思いだったのではないでしょうか」

 で、渡邉氏の影響力は低下するのか。経済誌の外食担当記者はこう否定する。

「神明は経営ノウハウがなく、米の販路拡大が狙いなので、経営に対して積極的に口出しするつもりはない。ワタミの清水邦晃社長は、今でも“渡邉教”の熱狂的な信者ですから、今後も重要案件は必ず“教祖”にお伺いを立てるはずです」

 ワタミの株主名簿を見ると神明は5位に過ぎず、1位には「アレーテー」なる会社が名を連ねている。

「アレーテーは、ワタミの筆頭株主で25・09%を保有する渡邉さんの個人資産管理会社です。社長は彼の長男。取締役には渡邉さんのみならず、奥さんも名を連ねています。結局、“渡邉支配”の構図に何の変化もありません」(同)

 アレーテーは、ギリシャ語で“奉仕”。渡邉氏のその思いが、社員や顧客に向けられていないことだけは間違いない。

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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