受験生の親を驚かせたセンター試験「リカちゃん」

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 ちょっと解いてみようかな。そんな気持ちで問題を開いたら、思わず目を見開いた父兄もいるのでは――。

 大学入試センター試験が終わって各教科の問題と解答が発表されたが、「国語」の読解力を質す問題では、のっけから「リカちゃん」がご登場!〈着せ替え人形のリカちゃんは、一九六七年の初代から現在の四代目に至るまで、世代を超えて人気のある国民的キャラクターです〉といった書き出しから始まる評論が取り上げられたのである。

 出典は筑波大学大学院・土井隆義教授の『キャラ化する/される子どもたち』。2009年に岩波書店から出版された“お堅い”学術本で、価値観が多様化する現代社会の光と影を、“キャラ”を通して論考する内容だ。原著から引用された問題文には、他にも「ミッフィー」「ハローキティ」「メイド・カフェ」など、馴染みのある単語が並ぶ。

 で、肝心の設問では、〈問2 傍線部A「リカちゃんの捉えられ方が変容している」とあるが、それはどういうことか〉とあって、間違うと評論問題50点満点の内8点を失う。リカちゃんといえども侮れない。

「昨年のインターネット社会を論じた評論文の問題と比べて、難易度は同じくらいですが、文章量は1割程度少なくなっています。現代文の読解力、論理構成力を見る問題としてはやや癖のある文章が選ばれたのではないでしょうか。一昨年のセンター試験では、日本史で手塚治虫のマンガを題材にした問題を出すなど、受験生に親しみを持って貰おうという意図を感じますね」(大手予備校関係者)

 ただでさえカチコチな受験生の緊張を和らげようという配慮はよいが、今回の問題文では、アニメの世界で男性キャラクター同士の“同性愛”を指す「やおい」という単語まで登場した。さすがに注釈では〈男性同士の絆〉と柔らかな表現にとどめているが、顔を赤らめた受験生もいるんじゃないかしら……。

週刊新潮 2016年1月28日号掲載

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