突然リングに現れた「顔面崩壊」加害者女子レスラーの胸算用

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 俗に“プロレス的展開”とは、ことの顛末が読めていながらも約束事として筋書きを見守る、といった状況を指す。今回も、やはりその類といえようか。「陰惨マッチ」で姿を消した女子レスラーが、春先にも“電撃復帰”するというのだ。

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 昨年2月、女子プロ団体「スターダム」の試合で、世Ⅳ虎(よしこ)(22)は安川惡斗(あくと)(29)の顔面を執拗に殴打、全治3カ月の重傷を負わせた。スポーツ紙デスクの話。

「無期限出場停止処分を受けた世Ⅳ虎は、謹慎生活に入ります。5月末には引退を発表し、翌月の引退セレモニーでは、慰留する後輩らをよそに、10カウントゴングを聞くことなくリングから去って行きました」

 全治3カ月の重傷を負った惡斗もまた、

「リハビリを経て一旦は復帰したものの、昨年暮れに引退を表明。現在はスターダム選手のマネジャーに転じています」(同)

 で、徐々に“事件”の記憶が薄れていく中、

「今月11日、後楽園ホールで開かれていた『シードリング』の試合に、世Ⅳ虎が突如現れたのです」

 とは、プロレス担当記者。

「メインの試合である高橋奈七永(ななえ)vs.田中将斗の『男女マッチ』の最中、客席から黒ずくめの女が劣勢の高橋のもとに駆け寄った。よく見ると世Ⅳ虎で、会場は騒然となりました」

 スターダム時代の先輩であり、昨年シードリングを立ち上げた高橋のセコンドを務めたのであった。

■「順序を飛ばした」

 先の記者が続ける。

「公の場に現れたのは7カ月ぶりで、試合後にはスポーツ紙の取材に『また気持ちが甦った』と答えている。そのまま、慕ってきた高橋が運営するシードリングに所属すると思われます」

 これに、世Ⅳ虎がプロレスを始めるきっかけとなった“恩人”ともいえるスターダムの風香GMは、

「初めて聞かされたことで、ショックを受けています」

 穏やかな口調ながら、憤りを隠さない。かつて謹慎中の後輩を案じて本誌に、

〈復帰してほしいのが本心ですが、違う人生もまた、選択肢の一つ〉

 そう語っていたGMは、

「私にもスターダムにもひと言もなかった。内心、また一緒にやりたいとは思っていましたが、ああいうアクションを起こされた以上は難しい。プロレス界の順序を飛ばしてリングに上がることに怒っている人も多く、本人だけでなく周囲も判断ミスをしたと思います。そうした声に、彼女はどう対応していくのでしょうか」

 世Ⅳ虎と同居する実母が明かすには、

「一時はずっと自宅で落ち込んでいましたが、すっかり回復しました。朝5時に起きて建設現場の仕事に出かけ、夜8時過ぎに帰宅という生活を送っています。惡斗さんが引退したと聞いたので、あの子に伝えたら『うん、そうだってね』と呟くだけでしたが……」 

 今回、セコンドについたのも知らなかったと言い、

「あの子はいつも物事を決めてからでないと言わないので、本当に復帰となれば応援しますが、大人の礼儀として、風香さんには必ず挨拶をしないといけません」

 そうした“非礼”もまた、先々の展開に向けた伏線なのでは、とつい勘繰ってしまうのだが、

「目下、3月7日に予定される『シードリング』次戦が復帰戦となるのでは、と見られています」(前出記者)

 果たして、次なるシナリオは――。

「ワイド特集 炎上中に寒中見舞い」より

週刊新潮 2016年1月28日号掲載

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