「旭化成社長」に辞任されたら困る「杭打ち偽装」仲間

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 大寒を迎える直前、東日本を中心に“冬将軍”が襲来した。この寒さを人並み以上に辛く感じたのは、昨年10月に杭打ちデータの偽装が発覚した3社のトップたちかもしれない。

 国土交通省は1月13日、旭化成建材と日立ハイテクノロジーズ、そして三井住友建設に対して営業停止などの処分を下した。意外にも、経済誌デスクが注目するのは、旭化成建材の親会社のトップ人事だった。

「旭化成建材は、過去10年間で少なくとも266件のデータ流用が発覚したことで、前田富弘社長のクビは当然。親会社・旭化成の浅野敏雄社長は、記者会見で涙ながらに陳謝しましたが、社会的な影響を考えれば引責辞任は避けられない。すでに、後任の名前も取り沙汰されています」

 仮に、浅野社長(63)が6月の株主総会までに辞任すれば、わずか2年の“短命政権”で終わる。しかし、当の旭化成社内でもそれを望むフシがあるのだという。建設業界関係者がこう囁く。

「実は、旭化成グループは4月から3カ年の新中期経営計画がスタートします。“シニア”と“在宅医療”をキーワードにした住宅新事業を開始しますが、浅野体制では覚束ない。それで社内のみならず、メインバンクなどからも“人心を一新して出直すべき”との声が上がっているのです」

 浅野社長の“辞任濃厚”に脅えているのが、日立ハイテクノロジーズの宮崎正啓社長(61)と、三井住友建設の新井英雄社長(61)だ。

「彼らは互いに責任を押し付け合って、これまで辞任を口にしてこなかった。浅野社長が引責辞任すれば、“対岸の火事”で済むはずがありません」(同)

 2人とも昨年社長に就任したばかりだが、浅野社長より“短命政権”で終わる可能性が高いのだ。

週刊新潮 2016年1月28日号掲載

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